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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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210/242

210.ロイの計画の破綻

 ミコトとロイは、セタに会うために、第4エラルダ国のセタの実家に向かっていた。


 もちろん、ミコトがロイの背中に乗り、ロイはひたすら走るという、いつもの規格外の方法だ。


 2回目の休憩時に、ロイはリオの処遇について教えてくれた。

 ちなみに、2回目の休憩も、ロイはミコトを膝に乗せて、切り株に座るというスタイルである。


 リオは、ソマイにミコトを助けるように仕向けたことや、今回のミコト殺害命令に直接関わっていなかったことが考慮され、国家特別人物の資格喪失、代表の解任、罰金と2年の監視が付くことで収まったそうだ。

 実行犯や指示を出した側近は懲役刑が言い渡されるとのことだ。


「リオは、代表を解任されたとはいえ、他に代表をやれる人がいないから、結局同じような仕事量をこなす事になるそうだよ」


「お給金下げられて同じ仕事をする罰って感じだね」


「そうだね。ある意味、労働を課せられる懲役刑と変わらないかも。あ、でも、カーサさんと一緒にはいられるかな……」


 そう、ロイの言うとおり、カーサはリオと離婚せず、一緒に罪を償う選択をしたのだ。


 リオとカーサは、ミコトが思うよりもずっと仲が良かった。

 2番目か3番目の奥様にリオが夢中だと勝手に思っていてすみません! とミコトは心の中でカーサに謝る。


「そういえば、リオさんは3番目の奥様と離婚していたけど、自分が捕まりそうだったから、逃がしてあげたってことなのかな……?」


 ミコトが首を傾げると、ロイは「あー」と笑った。


「キダンさんが興味で調べたんだけど、3番目の奥様は、2番目(ミレイ)の秘密に気付いて、バラされたくなかったら結婚しろってリオを脅迫したんだって。離婚するための相手の不利な情報を集めるのに時間がかかって、あの時期の離婚になったみたいだよ」


「そ、そうだったんだ。リオさんってモテるんだね」


 ミコトの解釈に、ロイは首を傾げる。


「お金目当てじゃないのかな? 国家特別人物の妻は金貨もらえるよね?」


 ミコトはハッとする。

 ミコトへの金貨30枚は、今でも騎士団から護衛を雇う事に使用されているため、金貨をもらっている感覚が全くなかったのだ。


 リオがモテるというキレイな話ではなかった。


「あー、ミコトは可愛いなぁ……」

 ロイはミコトを抱きしめる。


「ちょっとバカにしてるよね?」

 ミコトは頬を膨らませる。


「あ、その顔もいいね」

「もういいよ! それで、セタさんの家には今日行くの?」


 実は2回目の休憩をとっているこの森は、すでに第4エラルダ国なのだ。

 時間は13時。

 ロイの足の速さなら、14時にはセタの家に行けてしまうのだ。


「行けちゃうんだけど、セタ兄の治療をする事になったら、ほら、俺の力が入ってないとダメだよね。ミコトは人様のお家が苦手だから、第4の宿屋に泊まって……」


「ちょっと待った! ずっとロイの背中に乗ってたし、休憩も膝の上だし、力は入ってるよ!」


 ミコトがロイの言葉を遮ると、ロイは真剣な表情をした。


「セタ兄の治療は、おそらく今まで一番大変だと思うんだ。念には念を入れないとダメなんだよ」


 この人、また真面目な顔してイチャイチャしようって言ってるよ!?


「……嫌?」

 ロイは少しシュンとした顔でミコトを見つめる。


 ミコトはロイのこの顔に弱い。

 というか、どの顔にも弱いんだけどね!


「い……やじゃない……」

 ミコトは顔を赤らめて小声で呟く。


 ロイは笑顔で「良かった」と言うと、ミコトを背負って再び走り始めたのだった。






 第4エラルダ国のセタの実家にほど近い山の麓の町で、ロイとミコトは宿屋を探しながら歩いていた。


「ロイ! ミコトちゃん!?」


『リタさん!?』

 突然の女性の声に振り向いた2人は、驚いて同時に大声を出す。


 そう、後ろにいたのは、セタの母親のリタだった。


「こっちに来る手紙をもらってたけど、今日だったのね! 2人とも元気だった?」

「はい元気です! リタさんもお元気そうで良かったです!」


 リタとミコトは抱き合って喜び合う。

 ロイはリタが大荷物を抱えていることに気付く。


「リタさん、1人ですか?」

 ロイは周りを見回した。


「1人よ。オルバは仕事があるもの」

「えっ!? あの山道をこの荷物を持って登るんですか? 魔物も出るし……」


 リタの1人宣言に、ミコトは驚く。

 リタはアハハと笑う。


「いつもこれくらいやってるわよ。魔物も数体なら問題ないわ」

 リタは腰の短剣を見せながら言う。


 そうでした。

 彼女もまた、筋力と体力で選ばれたアリアンの妻でした。


 とはいえ、とミコトはロイをチラッと見る。

 ロイは微笑んで頷く。


「リタさん、俺が荷物を持ちますよ。一緒に帰りましょう」

「私が魔物を倒します!」

 

 ロイはリタの荷物を持ち、ミコトはリタの真似をして、腰の短剣を見せる。


「ありがとう! 持つべきものは優しい息子と娘ね!」

 リタは本当に嬉しそうに言う。



 荷物を持ったロイの前方を、楽しそうに会話しながら歩くミコトとリタを見て、ロイは「イチャイチャ計画が……」と呟いていた。


 後ろでロイが深い溜息をついていたのを、ミコトとリタは全く気付いていなかった。

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