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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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207/242

207.神様の話①

 第1エラルダ国の教会にミコトとロイが到着した時には、すでにセイラとマリーとリントが教会の中で待っていた。


 教会には、神官長のゼノマと若い3人の神官もいる。


「あらミコト、着替えたの?」

 マリーはミコトの白い祈祷服を見て言う。


 そう、ミコトは第2の教会で着たセイラとお揃いの白い祈祷服に着替えていたのだ。


「だって、ロイが服を破るから……」

 ミコトは不満げな顔でボソボソ言う。


「ごめんって。マリー、悪いんだけど、直してもらえると……」


 もうこの時点で、セイラもマリーもリントも、ロイの事を白い目で見ている。


「ロイさん、夫婦でも無理矢理はダメだとあれほど……」

「えっ、誤解だって! 脱がせようとしたら、破れちゃったんだって」

「……弁解に誤解部分が全くありませんよ」


 ロイとリントの会話を横で聞きながら、ミコトは溜息をついた。

 破れた服を縫うことも、ミコトには出来ないのだ。

 お腹に赤ちゃんがいるマリーを助けたいのに、迷惑をかけるばかりである。


「ま、力は入ってるし、イチャイチャの内容はどうでもいいよ。ミコちゃん、早速神様のとこにレッツゴー!」

 

 セイラはミコトの手を引っ張って祭壇の方へ進む。

 ロイも慌てて後を追う。


 マリーとリントは祭壇に近い椅子に腰掛ける。


 祭壇の前にミコトを挟んでセイラとロイがならび、3人は跪く。


「また消えたりしたら、寿命が縮む……」

 その様子を見て、リントが呟く。


「……やっぱり、セイラとミコトは従姉妹なのね。よく似てるわ……」

 マリーは微笑む。


「……昔は似てないと思ったんだけどな……」

 

 リントは、ミコトに聖女と似てないねと言って、ロイがミコトを庇ったことを思い出していた……。 







 少し、本当に少しお祈りをしたところで、ミコトはセイラに肩を揺すられた。


「もう目を開けていいよー」


 ミコトとロイが目を開けると、そこはミコトが前にも来たことがある、真っ白な空間だった。


「神様だよー」

 セイラは笑顔でセイラの隣に浮いている、白く光るバレーボールくらいの球体を紹介する。


『ええっ!?』

 ミコトとロイは驚きの声をあげる。


 ミコトの会ったことがある神様は、白髪白髭のおじいさんだった。

 それなのに、ボール!?


「神様って、人型じゃないんだ……」

 ロイも神様が球体なことに、驚きを隠せないようだ。


「神様は実体がないんだって。私の神様イメージがコレなんだー」


 セイラの言葉に、ミコトは白髪白髭おじいさんがミコトのイメージである事を思い出した。

 セイラのイメージは、白い球体、ということだ。


「神様、前にミコちゃんと約束したセタお兄ちゃんを治すってやつ、説明聞きに来たんだけどさー」


 セイラは、神様相手なのに話し方が軽い。

 ミコトとロイは顔を見合わせる。


(確かに約束したね。じゃあまずセタの現状から話すね)


 頭に「神様」の声が直接響いてくる。

 ……というか、神さまの話し方も軽くない?

 白髪白髭おじいさんの時とかなり違う!


 セイラはその場にストンと座る。

 ミコトとロイも真似をして座る。


(セタの症状はアリアンの制約に基づくものなんだ。アリアンは愛する者を絶対に守るために、自身に守れなかったら死する制約を課して力を得ているんだよ。つまり、セタを治すためには、セタをアリアンじゃなくするしかないんだ)


「アリアンじゃなくする……?」

 ロイは首を捻る。


(アリアンを辞めてもらうってこと。アリアンの記録で分かったと思うけど、アリアンたちは、自身の力に誇りを持っていた。どんなに辛くてもアリアンを辞めた先祖は一人もいない)


「それ、辞め方が分からなかっただけじゃ……?」

 ロイは素直な意見を言う。


 ミコトもそう思ったけど、誇りと言われた後には言いづらかったのだ。


(本気で要らないって思えば辞められるんだよ。もちろん人並み外れた力は失うよ。セタはそうは思っていないってことだね)


 アリアンの力って、そんな感じなのか!

 でも、人並み外れた力を本気で要らないって、なかなか思えないかも……。


 ロイは腕を組んで何かを考え込んでいるようだ。


(でもセタは人並み外れた精神力で我慢しすぎた。あの状態でアリアンを辞めたら、間違いなく死んでしまうから、オススメ出来ない)


「そんな……!」

 ミコトは思わず声を上げていた。


 セタが死ぬ方法を聞きに来たわけじゃないのだ。


「死んじゃう前に、ミコちゃんが治せばいいんじゃないの?」

 

 セイラの言葉に、ミコトとロイは「それだ!」と言った。


(あー、あれね。まさかミコトがこんな能力を身につけるとは思わなかったよ……)


 ミコトはビクッと体を強張らせた。

 もしかして、世界を変えたことになってしまった……?


「……俺、神様? に言いたい事があるんだ」

 ロイは声のトーンを落とす。


(もう分かってるよ。ミコトが望んだわけでもない転移に、さらに脅しをかけてミコトを怖がらせたことだよね?)


「そこまで分かってるなら、何でミコトに存在を消すなんて……!」

 ロイは立ち上がって、球体を睨む。


「ロイ……」

 ミコトも立ち上がってロイのシャツを掴む。

 おそらく実体じゃないのだろうが、掴んだ感覚がある。


(仕方なかったんだ。今までの聖女は、結構やりたい放題だったから……。歴代聖女たちは10年で帰すから大目に見てやれたけど、ミコトは一生エラルダで過ごすことになるから、ちゃんと言っておかないと、と思ったんだよ。でもまさか、こんなにクソ真面目な子だったなんて……)


 ……え?

 クソ真面目……!?


「うん、ミコちゃんは、クソ真面目」

 セイラは頷く。


(ミコトが怯えて過ごすことになるなんて思わなかったんだ。世界を変えて欲しくないのは本当なんだけど、こちらの不手際で転移してしまったのに、文句の一つも言わないし、努力は惜しまないし、クソ真面目すぎるよ)


「確かにミコトはクソ真面目だけど、じゃあ途中で教えてくれても……」

「ま、待った!!」


 ミコトはロイの言葉を遮る。


「クソっている? 真面目だけでいいよね!?」


 ロイとセイラはハッとした表情になる。


 神様がハッとしたかどうかは分からなかったが、以後「ミコトは真面目」という()()で話が進む事になるーー。

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