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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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205/242

205.ロイの心配と極度の疲労

 第2エラルダ国から帰国した翌日の午後4時。

 第1エラルダ国の政務棟で行われていた会議が一旦終了した。


 会議室の椅子から立ち上がれないアレンの隣の椅子にロイは腰掛ける。


「アレンさん、大丈夫ですか?」

「……ん、ああ、少し休んでから代表室に戻るから大丈夫だ」

 アレンは横目でロイを見ながら答える。


「代表室まで運びますよ。あそこのソファで少し横になった方が……」

「それじゃあ寝てしまうだろう。まだやる事が……」


 アレンの様子に、ロイはどうしたらいいのか分からず目を伏せた。

 今回、高齢のアレンをここまで疲れさせてしまったのは、ロイのせいなのだ。


「あの、ミコトに疲労回復を頼んで……」

「おまえなぁ、今の会議の内容をもう忘れたのか? ミコトには個人や医療で治せる怪我や病気は治療させないと決まっただろうが! 知人友人でも例外はないんだよ!」


 ロイは「でも……」と口籠る。

 アレンは苦笑する。


「まあ、俺も年だしな。そろそろ次をとは思ってるけど、なかなか……。リオのような奴は実際現れないんだよなぁ……」


「あの、キダンさんはどうですか? 割と優秀な気が……」

「お前は、第1を崩壊させるつもりか? 一番ない選択肢だよ!」


 アレンの心底嫌そうな顔に、ロイは「ですよね」と苦笑する。

 しかし、崩壊とは、キダンの評価は底を突き破っている。

 政務官には誰かいないものか……。


「俺のことはいい。お前はこれから尋問の手伝いなんだろう? いや、手伝いと言っているが、ほぼお前がやるんだろう?」


「う、まあ、口を割らなかったヤツだけは……」

 ロイは目を逸らす。


 今回捕縛出来た闇組織メンバー15人はいずれもかなりの手練で、誰一人、肝心な事は口を割っていない。

 残党狩りのためにも、早急な尋問が必要なのだ。


 ロイの様子を見て、アレンは息を吐く。


「お前の方が大変だよ。壊滅も一人でやったんだ。ミコトのお前の疲労回復に関してはこちらは口を出さないから安心しろ。ミコトは起きたんだろ?」


「はい。朝の9時頃に起きました。ミレイの時より短かったけど、やっぱり損傷箇所が不明で全身を治そうとすると負荷が大きい……何ですか、その目は?」


 ロイはアレンがじっと見てくるので、話を止める。


「いや、起きたのが分かるんだなぁと……」

「……気持ち悪いってことですよね……」

 ロイはしゅんと肩を落とす。


 アレンは、最強なのにこんな事で落ち込むのか、と苦笑する。


「お前に対して、今更そんな事は思わんよ。ほら、行った行った!」

 アレンは手をしっしと振る。


 ロイは仕方なく席を立ち、尋問室に向かうのだった。





 夜10時、聖女の部屋に、リントとタリスに抱えられたフラフラのロイが入って来た。


「ロイ!?」

 ミコトは叫んでロイに駆け寄る。


 セイラとマリーも驚いて椅子から立ち上がる。


 リントとタリスは、ロイをソファに寝かせると、ハァーと息を吐いた。


「ロイ! どうしたの!? 何があったの!?」

「……だいじょぶだよ、ちょっと休めば……」


 全然大丈夫に見えない。

 ミコトは、リントを見る。


「尋問を10人連続で行ったんだよ。シーマさん曰く、極度の疲労状態らしい。だからミコトの方がいいって……」

「やだ……、ミコトが寝たら話せないから……」


 ロイはミコトの手を握る。


「ロイさん、そんなこと言ってる場合じゃ……」

「アンタほんっとーにバカだよね!」


 セイラの暴言に、全員セイラを見る。


「力の振り分け方が極端すぎるんだよ! 頭にある力が全身に戻ってない!」


 セイラはミコトとロイのところまでくると、ロイの額にピシャリと手を当てた。


「こんなに頭に力を回したら、頭も疲れるし、体も力が足りなくて疲れるの! 分かったなら戻して!」

「は、はい!」

 ロイは素直に返事をすると、目をつむった。

 

 ミコトとマリーとリントとタリスが見守る中、およそ1分そうした後、ロイは目を開ける。

 その顔色は、先程よりかなりいい。


「本当だ。疲れがない……。聖女、ありが……」

「次にこんなことでミコちゃんを心配させたら殺すからね!」

「ハイ! すみませんでした!」


 セイラはチッと舌打ちをすると、ベッドまで行きゴロンと寝転んだ。


「セイラ、ありがとう」

 ミコトは背を向けているセイラにお礼を言う。


「聖女様はやっぱり聖女様なんすね……」

 タリスはボソッと呟く。


 ロイは起き上がり、リントとタリスに「ごめん」と謝る。


「いいですよ。ただ、キダンさんが心配してたから、俺ちょっと伝えに戻ります」

 

 リントがそう言うと、「私も行くわ」とマリーが言った。


「お父さんはどうでもいいけど、リントともあまり一緒にいられないし、ね」

 

 マリーの微笑みに、リントは顔を赤くする。

 セイラは起き上がって「おお!」と言う。


「マリー、今日はもう戻って来なくていいよ! 私はミコちゃんと寝るからさ!」

「ええっ!?」

 ロイは思わず叫ぶ。


 ミコトを自宅に連れて帰ろうと思っていたのだ。


「なんか文句あんの?」

 セイラはロイを睨む。


「……ありません。1階で護衛にあたります……」

 ロイは肩を落として答える。


「ロイ、明日は一緒に過ごそうね」

 ミコトはロイの袖を引っ張って言う。


 ロイは微かに頷く。


「ロイ先輩って、何でそんなに聖女様に嫌われてるの?」


 タリスの言葉に、聖女の部屋がしんとなる。

 タリスは慌てて口を塞ぐ。


 セイラはタリスを見てニヤリと笑った。


「教えてあげてもいいよ。夜通しソイツの悪口を語るけど、タリー君が耐えられるんだったら……」

「すんませんした。もう二度と聞かないです!」


 タリスはセイラに深々と頭を下げたのだった。

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