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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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200/242

200.マリーの妊娠

 第2エラルダ国の国立宿泊所のミコトとロイの部屋のベッドで、ロイは眠っているミコトの髪を触っていた。


 時計を見ると、夜10時である。


 ロイは今日のリオの話を思い出していた。

 

 リオの言葉に嘘はなかった。

 リオは悪人ではなかったのだ。

 ミレイもカーサもリオを慕っていた。

 ミコトも命を狙われたのに、リオを恨んでいない様子だ。


「いっそ悪人だったら……」

 ロイは呟いて、眠っているミコトを見つめる。


 ミコトは分かっていない。

 ロイの気持ちがどれだけ重いかを。


 ロイからすれば、ミコトを殺そうとしたリオは極刑に値するし、ミコトを助けてくれたとはいえ、ソマイの治療もどうだっていい。

 治癒能力を使用すると、またミコトは眠ってしまうからだ。


 今後、治療する患者が増えたら、ミコトはその度に眠ってしまう。

 ミコト本人も不安に思っていた、置いていかれる状態がずっと続くのだ。


 ロイ自身も、ミコトの寝顔もいいが、やはり起きていて話がしたいし、あの黒い瞳で見つめていて欲しい。


 いっそ、誰の目にも触れないところへミコトを連れていきたい……。


 こんな気持ちを伝えても、ミコトは、やる事あるでしょとか、みんなと一緒がいいと言うのだろう。


 ロイの気持ちの重さを本当には分かっていないのだ。


 

 ふと、ドア前に人の気配がしたので、ロイは起き上がりシャツを着て、ドアを開けた。


「リント、どうしたの?」

 

 ドア前に立っていたのはリントだった。


「ちょっと話が……、あの、ミコトは……」

「寝てるけど……、多分起きないから、話なら出ようか?」


 リントは「お願いします」と小声で言う。

 

 ロイは、騎士団で何かあったのか? と任せきりなことを反省しながらリントの横を歩いていたが、リントに連れてこられた部屋はセイラとマリーの部屋だった。


 これは、仕事をリントに押し付けすぎなロイへの糾弾かもしれない……!

 仕方ない、ここは、どんな暴言も受け入れよう……。


 ロイは覚悟を決めて、リントの後に続いて部屋に入った。






 第2エラルダ国の国立宿泊所のセイラとマリーの部屋で、セイラはベッドの上にのぼり、仁王立ちをした。


「重大発表をします!」

 セイラは高い位置から、ソファに腰掛けたロイとリントとマリーを見下ろして、堂々と宣言する。


 糾弾ではなさそうだが、嫌な予感しかしない、とロイは体を強張らせる。


「マリーのお腹に赤ちゃんが出来ましたー!」

「ええっ!?」


 ロイは立ち上がって、リントとマリーを見る。

 マリーは余裕で微笑んでいるが、リントは頭を抱えている。


「あ、おめでとう……でいいんだよね?」

 ロイは恐る恐る対照的な態度の2人に言う。


 マリーは「ありがとう」と笑顔でいい、リントは「それでいいんですけどね!」と顔を上げた。


「なんで聖女はすぐに言っちゃうの? 俺にだって順番が……」

「あら、順番なら結婚前だしもう間違ってるじゃない」


 マリーの指摘に、リントは「すみませんでした!」と頭を下げる。

 上司のロイからして、いたたまれない光景である。


「そんなのいいんだよー。私の世界では授かり婚って言うくらいなんだから! んで、なんですぐコイツに知らせたかというとね……」


 セイラはベッドからぴょんと飛び降りる。


「マリーの子どもには絶対に幸せになって欲しいんだ! だから、同じくらいにミコちゃんにも赤ちゃんを産んでもらって、そしたら、その子は国家特別人物確定でしょ? ということは、将来は金持ちだよ! ね、マリーの子どもと結婚させようよ!」


「ちょっと待った!!」

 リントが叫ぶ。


「聖女様、人の子どもで遊ばないでください! しかもアンタその頃はここにいないよね!」


 いつも割と冷静なリントも、さすがに涙目である。


「セイラ、女の子が産まれるとは限らないし、ミコトも男の子を産むと限った訳じゃないわ」


 マリーも計画? に無理があることを伝える。


「えー、マリーには女の子産んで欲しいし、ミコちゃんには男の子産んで欲しいんだよー」


 どうやらセイラの願望らしい。

 ロイとマリーとリントは溜息をつく。


「あのさ、聖女……、この話、ミコト抜きで話すと、またミコトが気にするからさ……」

 ロイは、置いていかないでと言ったミコトを思い出しながら言う。


「だって、ミコちゃんに言うと、変に真面目だから身構えちゃうでしょ? アンタがリントみたいにしれっとやって妊娠させないと……」

「わー! 聖女なんだから、その辺りは、濁して言って!」

 

 セイラの発言を、ロイは慌てて止める。

 マリーはクスクス笑い、リントはうなだれている。


「……聖女、俺とミコトはまだやることがあるんだよ。聖女にも協力してほしいことなんだ。だから……」

「やることぉ?」


 ロイは、不満げなセイラに、ソマイの治療の件と、神様に会い、ミコトの無事を両親に伝える件と、セタを治す方法を神様から教えてもらう件を話した。


 セイラは「そっか……」と呟く。


「ソマイちゃんとお兄ちゃんはともかく、ミコちゃんのパパとママの件は私にも責任あるから協力するよ」


「責任……?」

 ロイが呟くと、セイラは目を伏せた。


「ミコちゃんがこの世界に来たのは、私が望んだからなんだよ。もちろん、ミコちゃんだけ帰れなくなるって知ってたら望まなかった……。ミコちゃんも私が気にしないようにって、この話を私としないんだよねー」


 セイラは3人から顔を背けて、少し震えた声で言う。

 マリーとリントはうつむいている。

 

 ロイはふっと笑った。


「聖女のおかげで、俺はミコトに会えたんだね。感謝してもしきれないな……」


 セイラはぐるんと振り向く。


「自分のことばっかじゃん! どうせさ、ミコちゃんもおんなじ事言うんだよ! 『ロイと会えたから感謝してる』って! このバカップル!」


「感謝したのに怒られた……」

 ロイは苦笑する。


 セイラは、ハァーと息を吐いた。


「じゃあ、そのやること全部終わったら、ミコちゃんをしれっとやって……」

「だから! 言葉!」

 ロイは叫んでセイラの言葉を遮る。


 もちろんロイだって、ミコトとの赤ちゃんなら是非欲しい。

 しかし、アリアンの女児のこともあるし、いろいろ複雑なのだ。

 

 セイラはどうしても、子ども同士を結婚させたいようで「2歳差くらいまではいいよね?」とマリーに確認をとっている。


 リントは手で顔を覆って溜息をついている。


 この計画? をミコトが知ったらどういう反応をするのだろう……と、ロイは想像してしまうのだった。

 ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

 もしよければ、好きなキャラや気になっている点など一言でも大歓迎ですので、気軽に教えていただけると、とても嬉しく、励みになります。

 よろしくおねがいします(*´꒳`*)

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