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異世界恋護奇譚 〜聖女のオマケでバグ転移した私、15歳で天然最強騎士団長と偽装結婚しました〜  作者: 三多来定


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196.第2騎士団調査

 第2エラルダ国の騎士団は、第1エラルダ国の騎士団より、環境が良かった。


 まず、練習場が広い。

 各所、掃除が行き届いている。

 そして、食堂のメニューが多い。


 

 何故いきなり第2エラルダ国騎士団の話をしているのかというと、お腹を空かせたミコトを、ソマイが騎士団の食堂に案内してくれたからなのだが……。


 もちろん、ミコトは今や第2エラルダ国の国賓と言ってもいい存在である。

 町一番の食事処や国立宿泊所に在勤している料理人の方々も、ミコトが希望すれば腕をふるってくれただろう。


 しかし、第1騎士団の苦しい財政を担うミコトにとって、他国の騎士団の偵察をおいて他に大事なことがあるだろうか……、いいやない!


 そんな訳で、ミコトとロイとリントとセイラとマリーの5人はソマイの後をついて、第2騎士団にやってきていたのだった。


 ちなみにこのメンバーも、ミコトの希望のメンバーである。

 セイラとマリーからは、眠っていた間の事を食べながら聞けるし、リントとは騎士団の改良点について話せるからだ。

 まさに、一石三鳥と言ってもいい作戦である。


 ふふふと不敵な笑みを浮かべるミコトを見て、ロイとリントは溜息をついた。


 昨日の「神聖な治療の儀式」には、第2の騎士団員も多く出席していた。

 つまり、聖女も加えたこのメンバーで、第2の騎士団内の食堂でご飯を食べるなんて、目立つにも程があるのだ。


 しかし、この状況をあまり分かっていないミコトとセイラは、手を繋いで楽しそうだ。

 

 ちなみにミコトはセイラと同じ白い祈祷服を着ているので、二人はさらに目立っている。


「えー! 第1よりどこも綺麗だし、食堂もメニューがいっぱいあるじゃん! ソマイちゃん、なかなかやるね!」


 セイラの楽しそうな声に、ソマイは微笑む。


「お褒めいただき、ありがとうございます」


「第1では掃除は当番制なんですけど、第2では人を雇っているんですか?」

 ミコトはメモ帳とペンを取り出し、手に構える。


 なんの調査だよ、とリントは小声で呟く。


「いいえ、第2も当番制ですよ。きっと私が率先してやっているので、団員は手が抜けないのでしょう」

 ソマイは苦笑する。


「え! そうなんですね! じゃあ、ロイが掃除をやれば……」

「ミコちゃん、コイツが掃除やってたら、罰ゲームにしか見えないって!」

 セイラはアハハと笑う。


 ミコトとリントとマリーは、騎士団で掃除をするロイを思い浮かべる。


「そうね……。きっと何か悪い事をしちゃったのよね……」

 マリーの言葉に、ミコトとリントも大きく頷いた。


「俺のイメージって……」

 ロイはガックリと肩を落とす。


「そんなことよりさぁ、ご飯ご飯! ミコちゃん、違うもの注文して、分けっこして食べようよ!」

「いいね! 私唐揚げ食べたいなー。あと、トンカツとー」

「ミコト! 丸一日食べてないのよ。揚げ物ばかりはダメよ!」

 マリーは慌ててミコトを止めにかかる。


 その様子を見たソマイはハァと息を吐いた。


「あ、なんかすみません。目立ってますし……」

 ロイはソマイに謝る。


「え! いえいえ、溜息ではないんです。ちょっと安心してしまって……」

 ソマイは慌てて息を吐いたことを否定する。


「安心、ですか?」

 リントが聞き返す。


「はい。あんな偉業を成したのに、ミコトさんは何も変わらないなと思いまして……」


 ロイとリントは「ああ……」と言う。


「基本、アホなんですよ。ミコトは」

「ミコトはアホじゃないよ!」

 

 リントの言葉にロイは反論する。

 ソマイはふふっと笑った。


「リントさんは、ミコトさんに厳しいですね」

「厳しくもなりますよ。5年も迷惑かけられてるんですからね」

 リントが溜息混じりに言うと、ソマイは「5年ですか……」と呟いた。


 ロイはピクッと肩を動かした。

 ソマイは、リオのミコトを調査した資料を見たと言っていた。

 きっと、5年前より前のものが無かったことを言っているのだろう。


「ロイ、リント! 一緒に注文しちゃうから何を食べるか教えてよー!」

 ミコトが大声を出している。


「ミコトたちは何を……って、これ、頼みすぎだろ!? どんだけ食う気だよ!?」

「だって味の調査しなくちゃいけないから……」

「料理できない奴の味の調査なんて意味ないんだよ!」


 ミコトとリントが言い合っているのを見て、ソマイは笑っている。

 

 きっとリオにはすでにバレていたのだろう、とロイは感じ取っていた。






「あのね、タリー君とウミノちゃんは、月に一回会う日っていうのを決めてたよー。アサキンが冒険者とメイクさんじゃ仕事が違いすぎるから決めた方がいいって言って仕切ってた」

 唐揚げを頬張りながら、セイラが言う。

 

 ミコトは、なるほど、と頷いた。

 アサキさんは、アサキンになったらしい。


「お父さんとチェコさんは、結婚まではしないみたいよ。ただ、チェコさんはカラスを辞めるって言ってたわ」

 マリーは食後のお茶を飲みながら言う。


「辞めて大丈夫なのかな……?」


 ミコトが呟くと、マリーはハァと息を吐いた。


「なんかね、闇組織がもうないのなら、カラスも続けなくてもいいんですって。お父さんったら、それもあって闇組織調査をやっていたのかしらね」


 マリーが呆れたように言うのを聞いて、ロイとリントは顔を見合わせた。

 キダンの闇組織調査は、マリーの身の安全のためだったが、そうは思われないようだ。


 これもキダンの日頃の行いの悪さだろう。


「そっか。どっちもうまくいってよかったよ」

 ミコトはホッとした顔をする。


「ミコトさんは、これからどうするんですか?」


 ソマイの言葉に、ミコトは首を傾げた。


「どうする、とは?」

「あれだけの偉業を成したのですよ。国家特別人物の資格を取らないのですか?」


 ロイとリントは、アレンが同じように言っていた事を思い出していた。

 ミコトは苦笑する。


「あの、この力って、私一人の力じゃないんですよ。それに、騎士団で働きたいし、ロイの奥様もちゃんとやりたいんです」


 ミコトはロイをチラッと見ながら言う。

 ロイはふっと微笑む。


「そうですか。ミコトさんらしいですね」


 ソマイも自然に微笑んでいた。

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