表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/124

77 波間に漂うもの

「止めろ!コタル ṙṙローッ!」

デルードが叫ぶ。ベルーダは訳が分からない、ただオロオロするばかりだ。


コウタロウが放つ強大な威力の魔法。

船はもみくちゃにされてしまう。

船の周りは嵐のように波立ち、十メートルを超える波が逆巻いている。

船員たちは慌てて帆をたたみ、舵を大波に向かって取り出した。

彼らの乗った船は波に向かって直角に進み、波の山を乗り越え、すぐに波を乗り越える……。


真下に向かって沈み込んでいく船体。

谷に落ち込むような浮遊感が皆に襲いかかる。

波の谷に船が叩きつけられ、ギュギッギーッと不安な音を立てた。


船の甲板は波に攫われ、柱に掴まる者、ある者は身体を縛り付け、ロープにしがみつき、海に投げ出されないように、皆必死だ。

彼らの苦難の時間は、数十分とも数時間とも感じられた。


その後、段々と波が収まり、海はゆったりとした普段の姿をを取り戻す。

船は無残な姿をさらしてはいたが、それでもなんとか浮かんでいた。

メインマストは折れ、帆は破れてしまった。


甲板には柱にくくりつけられ、気を失ったコウタロウがいた。

ベルーダとデルードは息を切らし、へたり込む。

周りでは、船員たちが何とか船を維持しようと四苦八苦していた。


港からは、波に攫われた船の残骸がたくさん浮かび海を漂っていた。

穏やかな海面には、彼らの船以外は何も見えなかった。


「一体コタル ㇽッロは何をやったの?」

「……私が教えた、風の強大魔法です……その時、魔素切れをして倒れた。帝国の盗掘者に掴まったときと同じです」

「何という威力、でも扱いがまだまだね。私たちまで巻き添いを喰らってしまった」


「今回は、以前より威力が増したように感じます」

「ええ、コタル ㇽッロは魔素の保有が人並み外れている。段々魔素が身体に馴染んできて、威力も増したのでしょうけど……帰ったら特訓しなければ。今のままでは危険だわ」

「……はい」

デルードは、海を見渡す。どこにも皇の船は見つからない。


――皇は海の藻屑と消えたたのか……。


ふと喉にヘをやると、皇につけられたデルードの印の感覚が無くなっていた。


「ベルーダ様。私に付いている皇の印、見えますか?」

「いえ……消えている……」

「皇は、スファルタン皇は……亡くなられた……ということですか」

「そうね、コタル ㇽッロの、お陰……かしら」


船室に隠れていたサクラの司祭たちが、恐る恐る顔を覗かせた。

彼女たちはまだ残っていた。


ベルーダが、コウタロウとデルードを救い出すまでここにいたのだ。

彼女等は船縁で、今まで自分達が捕らわれていたスファルの街をじっと見ている。

その一人が何かを指さし叫んだ。

船員が急いで駆けつけて見ると、板に乗った黒い犬が溺れそうになっていたのだ。


船員が海に飛び込み、犬を助け船に上がってきた。

やや大きめの犬だが、ここスファルタンでよく見かける犬だ。

ぐったりとしている。

サクラたちは急いで身体を拭いてやり、水を飲ませていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ