表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/124

71 行動  

「あ、そうだデルード、さん」

「もう、いいよデルṙṙドで。さんなんて付けなくっても」

「へ、へ……つい。で、魔核の不良品が密輸されているみたいなんです。知ってましたか?」

「ああ、あれは不良品ではないよ。ちゃんとした物だ。ただ魔核を飲む人間が問題だ。皆、力の有る年寄りばかりだからね。若くないと効果は限定的だし。折角の効果も、ここでは試せない。サンクチュアルがないからね」


「そうだったんだ」

「ああ、態と少し流しているようだ。盗掘者が多くて、採集人が危険に晒されていたから。詳しい使い方を知らせないでね。我が月の神殿も意地が悪い。ふ。ふ」


――確かに、ベルーダなら高い金をふんだくっていそうだしな。


そのあと、サクラたちの居場所を聞き俺は青くなった。

「何で司祭をそんなところに!」

「……仕方がないんだ。この国は女性が軽視されすぎている。女性と言うだけでそういう扱いを受ける。そして逆らった者は舌を切られた。必然的に、そこへ送られた。だけど今は大丈夫だ、私が王に条件を出して客は取っていない」


これは急がないとダメだ。俺はとって返してメルカ神官に暇乞いをした。


「ずいぶん急だね、どうした?」

「ごめんなさい。俺、思い出したんです、俺には大切な人が待っているって言うことを」

今こそ、記憶喪失の設定が生きる。ちょっとだけ嘘を交えたが、メルカ神官は同情してくれた。

「そうか、記憶が戻ってよかったではないか……よし許そう」



護衛たちの宿坊に入り、挨拶も済ませ、俺は神殿を出た。

振り返って門を見上げ、両側に列んで建つ石像を改めて眺めた。


「鷲の顔と、人の身体。こんなのばかりがいる世界……か」


そりゃ戸惑っただろうな。

彼らはこの世界をどう言う目で見ていたんだろう。自分達とあまりにも違う見た目に、考え方。そして生活水準や社会形態。


彼らは自分達が住みやすいように、スファルタン帝国を作り上げてきたのかも知れない。

だが、俺の前世でも似たような社会形態だった時代があったし、違いはほんの少しだった。

これが、人が考えつく限界なんだろう。

同じようにしか変化できない……というのは。


俺は、スファルの街に入り、ケムの家へ帰った。

ケムは仕事へ出かけていないようだ。

奴隷のセトが、食事の支度を急いでし始める。

「旦那様、少しだけお待ちください」

「いいよ、ゆっくりで。突然帰ってきたのは俺なんだから」

「……はい。すぐですので」

彼は片足を引きずりながら、厨房へ入っていった。

セトの足は、多分リュウマチみたいなものなんだろう。

もしくは昔の怪我か……。

足を引きずる奴隷だったため安く買えた。

だけど、サボらず無口で、よく働くいい男だ。

年齢は三十代後半くらいか。

程なくして,厨房からいい匂いがしてくる。スパイシーな香りが鼻を刺激し、腹がぐーっと鳴った。


俺が食事をしていると、ケムが帰ってきた。俺を見て驚いている。


「どうした,何か問題でもあったか!」

「いや、問題は起こしてないけど……辞めてきた。他にやることが出来たんだ」

「ほほう、何をやる? 我にも手伝えることか」

「ああ、是非手伝って欲しいことがある。南区の歓楽街ってどこか分かる?」

「……ああ……そんなところで、何を?」

「助け出したい人達がいる。そしてエルタゴスへ帰す」


次の日、ケムに連れられ歓楽街にやってきた。

ここはあまり治安がよくない場所だった。

子ども達が裏通りに固まって残飯を漁っていたり、抜け道を通って自分たちのねぐらへ何かを運んでいたりしていた。


子供たちの服装は下穿き一枚に裸足だ。

暑い気候のここでは寒さに震えることはないだろうが、足に怪我でもしたら、命取りになりそうだ。


「何だってこんなところに、コトゥルの知り合いがいる?」

「エルタゴスから攫われた女性がいるらしい」

「……もしかして、魔女か! でも魔女をなぜ……」

「逆らって、舌を切られて、ここに落された。舌を切られれば魔法は発動出来なくなる。使い道がなかったんだろう……」

「そうか、そうだな。可哀想な事になっていたんだな」









中盤に入り、物語は新しい局面へ向かいます。

あなたのペースで、続きを楽しんでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ