外伝、 コウタロウが消えたあと
パパスとぺぺは、コタルㇽッロが消えたサンクチュアルにまた来た。
何か手がかりがないかと、あちこち探す。
昨日も来たし今日も同じように探し回る。
砂漠は、いつ来ても同じだ。
強い日差しと、からからに乾いた風がゆっくり流れ、二人の体力を奪う。
腰に下げた水の入った革袋が軽くなってきた。
「何も見つからないな……帰ろうか」
「まだ、水が残っている、あの辺を探索してから帰る」
「お……おお」
ぺぺはパパスを横目で見ながら、彼を不憫に感じた。
以前はコタルㇽッロを目の敵にしていたが、この頃は見直したと言って尊敬や、信頼を寄せ始めていたのに。
ベルーダ様ともよくコタルㇽッロの話で盛り上がっていた。
パパスは、どうしても人に懐かない人見知りなところがあって、中々友達が出来ない性格だった。
それがこれから友達として心許せそうだと思った途端、いなくなってしまったのだ。
ぺぺとは年が離れているから、友達という感覚は持てないのだろう。
「あいつは……」
パパスが重い口を開いてぺぺの方を向く。
「あいつの世界には、両親が待っていて、あいつは親をすごく大切に思っている。それなのに帰れなくなって、どこかへ消えた。可哀想だなって思っている。俺には親がいないから……わかんないけどな」
ぺぺは、パパスの話を遠くを見ながらながら聞いていた。
そして、静かに頷いた。
異空間と言われるこの一階層の砂漠にも端はあった。
モヤモヤとした異空間の端、壁ともつかない揺れる壁の下側をじいーっと見ている。
「パパス、何かあったか?」
「これ、羊皮紙の紙切れ?」
砂から拾い上げてみると、文字が書かれている。パパスたちに文字は読めない。
いやこんな難しい文字は読めない。
簡単なものはなんとか分かるが、司祭たちが使っているような単語は理解できなかった。
「デルード主任が書いた物ではないのか?」
「そうかもな……確かコタルㇽッロがもらっていものだ」
パパスはポケットに紙を押し込み、きびすを返す。
ぺぺもパパスの後を追いサンクチュアルから出ようとした。
その時、サンクチュアル全体から、ブルブルと震えるような気味の悪い振動がした。
「急いで出よう」
「ああ」
彼らがサンクチュアルの外に飛び出したとき、
神殿からも、たくさんの司祭たちが飛び出してきた。
ノビスたちも集落から急いで外に出て、サンクチュアルがある山の方を見ている。
ベルーダをめざとく見つけ、パパスは走り寄った。
「何があったんですか、司祭様」
「分からない、地面が揺れて、ゴゴッという地鳴りがしたの。地面がずれてような感じだった」
「今はなんともないようですが……」
皆でサンクチュアルを振り向き、静かになった山に手を合わせた。
彼らは、震えながら畏敬を込めて拝んでいた。
その数日後、再び魔核の採取にサンクチュアル入ったパパスたちは、
三階層が消えていることに気が付いた。
二階層からいきなり四階層には入れてしまったのだ。
採集人たちは慌てて司祭を呼びに走った。
※ ※ ※ ※ ※
「御領主様!」
「分かっておる。今行く」
同じ頃、異界のヌアタラ領領主館は大騒ぎになっていた。
つい二年前に穴が閉じたのに、また穴が活性化の兆しを見せたからだ。
しかも今回は以前のような兆しもなく、いきなり穴が開く地鳴りがしたのだ。
それは、領都まで揺るがせるほど大きかった。
馬に乗り三十名の異能たちが遺跡まで一目散に駆けつけた。
彼らの目には信じられない光景があった。遺跡には今までなかった巨大な建造物が建っていた。
「何だ、この門は!」




