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41 ご褒美のお裾分け

魔女のおばさんからもらった、蜜がタップリ染み込んだ巣。


「これ、俺一人で喰ってしまっても良いのか?」

ぺぺが、物欲しそうな顔で見ているので分け合って食べる。

「うんめぇなぁ!」

「ウン甘い」

手が蜜でベタベタする。手から舐め取って口の周りもペロリとする。


「半分残しておいて、みんなにもあげようか?」

「おまえって、良い奴だな」


一人で食べてしまってもよかったが、今後のこともある。

パパスにもごまをすっておいた方が良いだろう。

俺には下心がたっぷりあるんだ。良い奴なんかではないな。


この採集係の家は、三人部屋になっていて、個室とまでは行かないがそれぞれのスペースはあった。

そして食堂は広い空間が設けられている。

そこへ集まった皆に蜜を出して見せた。

皆は、歓声を上げて食べ始めたがパパスだけは、食べない。

そっぽを向いて剣の手入れをしていた。


ぺぺは俺の耳元で、コッソリ教えてくれる。

「あいつはベルーダ様の信者だから。焼き餅焼いてんだ。気にすんな」

「へえ、あのおばあさんが好きなのか」


部屋に入ってから、またぺぺが教えてくれる。

「俺たちはみんな孤児だ。街の孤児院で司祭様に選ばれてここへ連れてこられて、感謝している。特にパパスは、ベルーダ様を親のように慕っているんだ」

そうだったのか。俺には両親が揃っていて、そんな境遇の人の気持ちが分からなかった。

他人のおばさんでも、親みたいに感じてしまうんだな――ただ、そう思った。



数日経った頃、ベルーダとは違う司祭がきた。

珍しい男の司祭だ。

ベルーダより一段低い司祭だとぺぺが耳元で教えてくれる。


「良いか、君達。君達のような境遇には滅多に教えてやれないような貴重な魔法だ。一度しか言わんから、よーく聞け!」


偉そうな奴だった。彼が教えてくれる魔法は「火」を吹き出させる物と「水を」出す魔法だそうだ。

火はともかく、水は覚えておいた方が良い。あの砂漠はヤバい。

サンクチュアルに入るためにも必要な魔法だ。


「でも何で教えてくれる気になったか……だな」

ぺぺが何気ない調子で疑問を口にする。

「採集人が減ったからさ。これ以上減ったら、困るのは神殿だ」

ぼそりとパパスが答えた。

滅多に神殿を批判するようなことを言わないパパス。

何かあったのだろうかと勘ぐってしまった。


「こら! そこ、ちゃんと聞いてるのか。教えてやらんぞ!」


「「「「フグṙレンバルṙṙṙ・エルṙṙディア」」」」

「……ふぐれんばる・えろであ」

「「「「アフロṙスセレṙṙ・エルṙṙディṙア」」」」

「あふろすせれ・えるだー」


「「「「フグṙレンバルṙṙṙ・エルṙṙディア」」」」

「……ふぐれんばる・えろであ」

「「「「アフロṙスセレṙṙ・エルṙṙディṙア」」」」

「あふろすせれ・えるだー」


「おい、平たい顔! めちゃくちゃだな。フグṙレンバルṙṙṙ、だぞ、ルṙṙṙ!」


「ふぐれんばるるろ、るろ?」


「チッ、巻き舌ができんのなら、魔法は無理だな。魔法は発声が第一なんだぞ!」


クッソー。何で俺の舌、巻けないんだ! 

自分の舌なのに思い通りにならない。


俺の他の採集人たちは皆、火を出したり、水を出したりし始めた。

俺だけ出来ていない……。


部屋でも自主練した。

ぺぺに見本を聞かせてもらってもどうにもならなかった。

「コタルㇽッロは、まず、自分の名前を正確に言えるようになってからだな」


……俺の名前はコウタロウだ。

お前こそ俺の名前を正確に言えよ。

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