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33 不可解な若者

「お、おいらが始末しやす! 司祭様は危険だから、こっちへ来てくんなさい!」


パパスは慌てて腰のコルティーラを抜き、ベルーダと若者の間に飛び出した。

「お待ちなさい、パパス。この若者と私……なんだか繋がっているようなの」

「で、でもぉ、こいつはベスタだ!」

「……っそうかも知れないけど……」


ベルーダは若者に手を翳し、自分と繋がる魔素を感じ取ろうとする。

若者の額からは、魔素の線が伸びていて真っ直ぐに黒い玉へ繋がり、その内のほんの少しだけ、ベルーダとも繋がりが感じられた。


「取り敢えず神殿に保護しましょう。ベスタではなかったわ。大丈夫よ」


不満顔のパパスを残し、他のノビスたちが若者を交代で背負った。

若者の身体は大きくて重そうだ。

ノビスたちは汗をふきふき、息を切らしながら何とか足を進めた。

若い神官サクラたちは怯えていたので、先に返した。


ノビスたちの後ろをゆっくりとついて歩きながら、ベルーダは一人考え込んだ。

服装は見たことも無い物だ。まるで違う世界の物のように見える。

しかもこの第五層の入り口は一つしかないのに。

「彼はどこから五階層に入った?……もしや、黒い玉は、どこかと繋がっていた……」


思わず零れたベルーダの言葉を、パパスは聞き逃さなかった。

「こいつは盗掘者にちげぇねぇ。ちゃんと処罰させてやる!」

「そうね、彼が気が付いたら問い質さないと。見たことがない服装ね。帝国からの間者かも知れないわ」



若者は、神殿の地下牢へ入れられた。

地下牢と言っても、それほど酷い場所ではない。

ちゃんと窓はあって外気を取り入れられている。

壁には給水の管が通されて、水がちょろちょろ流れ落ちている。

寝床は、木枠で囲われ、その中に藁が敷き詰められている。

便器は地面に深い穴が掘られていて、然も途中で曲がっている。

これは、逃げ出すのは困難な造りだ。


食事は一日一度、小さな取り出し口から差し入れられる。

人道的な扱いだと、ベルーダは、考えている。


帝国では、”疑わしきは罰する”という理念があり、始めに手足を折ったりして逃走を妨げたりする。


「野蛮な種族。相容れない宗教。とてもでは無いけど……万が一あの子が帝国からの間者なら……」


程なくして若者が目を覚ました。

牢は、一面だけ鉄格子が組まれた壁になっていて、牢の外から監視が見守ることができる造りだった。

監視の椅子に腰掛けたパパスが、じぃーっとその様子を見ていた。


若者は、上半身を起こして周りを見る。

そして格子に走り寄り、パパスに向かって叫んだ。


「****、******!」


何を言っているか分からない言葉で、怪しい盗掘野郎が叫んだ。

帝国語でも、ここの国の言葉でもない異質な響きがパパスの背筋をざわつかせた。


「……な、何だぁ――お前の言葉、変だぞ」


目覚めた若者の顔付きも、よく見れば自分達とはまるきり違う。

パパスは、監視の椅子を飛び上がり、急いで司祭様に報告に行った。

背後では、鉄格子が今にも壊れそうにミシミシ音を立てていた。


「*****! ***!」

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