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28 異能になった雑兵

おいらは雑兵だった。

取るに足らない使いっ走り。

この穴討伐に加わるため、十五日かけて徒歩で陸地をたどってきた。


本当は十二日で着く行程だったが、途中で川が氾濫して大回りしなけりゃならなかった。


クナイの上司はすげぇ怒って

『このままではチェム師を失望させてしまう。おまえら、サッサと動け』

尻を叩かれまくった。


そんなことを言われても、これ以上の速さは出せねぇ。

だけど、雑兵であるおいらたちが文句なんて言えねぇ。


ただ黙々と、重い荷車を押すのみだ。

総勢二百人からなる徒兵の内訳はこうだ。


井戸掘りや柵の設置などの役割をする工兵が、十五人。

治療係が五人。

戦士のクナイ兵が五十人ほど。

輜重隊の係は十五人。おいらたち雑兵はこの手伝いもさせられる。

重い荷車が二十台ほどあり、おいらたちが後ろを交代で押したり引いたりするんだ。

要するに雑用だ。なんでもやる。


おいらたちがやっと拠点に着くと、休む間もなく仮の兵舎造りに取りかかる。

以前掘っておいた井戸の調整もしなけりゃなんねぇ。

まったく、人をなんだと思っていやがる。ちったぁ休ませろってんだ。


そんなことは言えねぇから、ただ指示に従う。

やっと休めそうだと思っていた矢先、俺にクナイの上司から声がかかった。

「おまえ、チュム師の実験隊として配置移動だ。名誉なことだぞ。雑兵から抜け出せたな」


「実験隊って、なにするとこだ? おめえ、知ってるか」

「知らん。でも昇進だろ、よかったじゃねぇか」

「へ、へ、まあな。日頃の行いを認められたってこった」


おいらは、お偉いチュム師に呼ばれ、緊張しながらも誇らしく思っていた。


「おい、そこの。これを飲め」

突然手渡されたのは、嫌な臭いのするでっかい卵だった。


――く、くせぇ! なんだこれ。気味が悪い。シュワシュワしたのが中に見える……


実験……そうか、おいらは人体実験にさせられたんだ。

くっそがぁーー。

いいぜ、ここで名誉の……犬死にってぇやつを遂げてやる。


手がブルブルして、うまく持てねぇ。おっと、ちょっとこぼれた!

クナイの上司がおいらの頭をバコンと殴った。

「ばっかモン。こぼさず飲み込め!」

残った中身を思いっきり飲み干した。

「ぐっぷッ」

腹から空気が上がってきて、臭いおくびが出た。


――おいら、死ぬのか……母ちゃん……


だけど、いくら待っても苦しくならない。なぜか身体がぽかぽかしてきた。


「今日は仮宿舎で休んで良いぞ」


お、おお……すげぇ好待遇だ。野宿しなくてもよくなった。



それからおいらは、クナイ・トムのコウタロウというでっかい戦士と、

ランチョンの元漕ぎ手、パヤンと一緒に行動するようになった。


コウタロウは、まだ十五歳だという。「本当はもっと年が低いんだ」と、パヤンにこっそり教えてもらった。

嘘だろう――信じらんねぇでかさだ。

こうでないと雑兵からクナイ・トムにはなれないんだろうな……そうは思ったが、おいらだってもう雑兵ではない。出世したんだからな。


毎朝遺跡の中へ行って、卵を潰すっていう簡単な任務だ。

これは、今のところ、おいらたちしかできない任務だ。

たまに魔物が出るが、コウタロウが難なく倒している。


偉そうにふんぞり返っているクナイどもにも手も足も出ない。

へ、へ、なんとなく気持ちいいぜ。

おいら、臭かったけど、我慢して卵飲んで、よかったぁー。


だけど、暫くしたら、新しくおいらたちの任務と合流する仲間が増えた。

それが……何と……チュム師だ!!!


俺、もう辞めたい……。










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