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20 側近の仕事

春、大きくて立派な兵舎に移動してきた。

クナイ・トム専用の兵舎だという。

クナイ・トムとは、クナイの上位階級だ。

この下にクナイ・スレイがあり、一般兵はただのクナイと呼ばれる。


訓練場から、かなり北寄りに位置したその区域に、俺は初めて足を踏み入れた。

聞くところによれば、ここから王宮はすぐらしい。

この街の北側は、王宮や富裕層の屋敷が密集している区域だ。


南へ行くほどに建物がみすぼらしくなっている。

西は戦士階級が集まる地域で、東側は職人たちの地域という風に区切られているようだ。


立派な建物にすっかり気持ちが萎え、門の手前で逡巡していると、

「コウタロウ、というのはお前だな」

門番に声を掛けられ「はい」と応える。


そのまま建物の中へ通されることとなった。

広い廊下を進み、突き当たりの階段を上がる。

幅の広い階段だ。

階段の隅っこを歩き、案内の後を付いていく。

大きな扉の前まで来ると、「ここで待て」と言われた。


「コウタロウを連れて参りました」

「ん、入れ」


案内の門番はそこからいなくなり、俺は一人で大きな扉を開け中へ入った。


「今日からこの部屋の側近部屋で寝泊まりするように」

声を掛けてきたのは、ソク・タラではない。もう一人の男が、俺を広い部屋の隅にあった小さな扉の中へ連れて行った。


十畳ほどの部屋に三人分の簡易ベッドがあり机や椅子も三人分あった。だが、ここに窓はない。


側近部屋はもう一つあって、そこは側近長の部屋らしい。

ここに案内してくれたのはどうやら同室の側近で、俺に事細かく側近心得を話して聞かせた。


最初、冊子を手渡されたが、俺に文字は読めないと知ると、小さく舌打ちをされた。

口頭での説明は、あまりにも多義にわたっていて俺には覚えきれない。

覚えている限りで、要約するとこう言う事らしい。


★側近の仕事(俺の仕事)

①チャム師の装備の手入れ――外套や武具の受け渡し

②食事や水の準備

③伝令の受け渡し

④移動時の荷物持ち

⑤周囲の警戒

⑥不審者の察知

⑦主の背後を守る

⑧ いざという時の盾役


★俺以外の側近の仕事(上の人達)

・作戦補佐

・判断材料の収集

・ 内部事情の管理

・ 軍の機密保持

★側近は、主が倒れた時に、 救助、伝令、指揮の引き継ぎなどを行う。


俺は後半は関係ないと聞き飛ばし、俺の仕事内容だけを一生懸命反芻した。


制服も替わり、早速着替えなければならない。

側近用の帯は幅広で、今までのと少しだけ違っていた。

俺の帯は、もちろん黒色だ。

だが、帯の中心にソク・タラの紋章が刺繍がしており、やや高そうな雰囲気だ。


「この帯をしていれば、側近だとすぐに知れる。普段の行いには重々気を付けるんだぞ」


その後、側近仲間から、文字を習わなければならないと言われた。

――この世界の文字!

勉強は苦手だが、興味が沸いた。


取り敢えず今日のところは備品の位置、食堂の位置と兵社内を案内されて終わる。

疲れ切って、その日は狭いベッドに倒れ込むように眠った。


夢の中で、兵舎内がグルグル回り、朝目覚めても寝た気がしなかった。

「俺は、頭を使うとつかれるんだな」

と、妙に納得してしまった。

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