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11 コウタロウ 目指す先は

俺は、山を駆け上がり、てっぺんに立った。

もうここに来るのに時間は掛からなくなった。


飛ぶ勢いで、岩肌をぴょんぴょんと駆け上がれるようになってしまった。


「俺は……人、だよな。まだ」


ゴンタの悲報を聞いてから一年が経つ。

俺は九歳になった。

十歳になれば、サンバラの兵士としての検査が行われる。


ゴンタの時とは変わってしまった。

以前は希望者を募っていたが、今では強制だ。

十歳から、戦士として厳しい訓練を受けさせられるのだそうだ。

穴は、大人しくなったというのに……


俺の身体はめきめきと育っている。

このままでは、戦士として徴兵される。

徴兵される条件が体格だそうだから。


今は、野良仕事も手伝えるようになり、ジロウもずいぶん成長した。

野良仕事は力が有る俺にとって、苦ではない。


父ちゃんも母ちゃんも働きに出るから、午前中だけ手伝えば、あとは自由に遊ばせてもらえる。


ジロウは隣のばあさんが面倒を見てくれているし、今日の午後は俺の時間だ。


俺は岩の荒野を駆け下りる。いや――飛び降りる!


なだらかな崖だが百メートルはありそうで、所々岩が不安定で足場が悪い。

だから、なるべく岩に足を掛ける回数を減らす。


身体にかかる重力が、なんかおかしい。

ふわりと飛び、ストンと降りることができる。

今の俺は……一体、何だろうなぁ……。


俺は、以前飲んだ卵が気になっている。あれは、他のとは違うものだった。

何度探しても、それ以降見つけられない。


だけど、何とか見つけて確かめたい。

だから、今日もここへ来た。


岩の荒野は、西へ行くにしたがい高くなる。

あの岩山の向こうへは行くな、と言われているが俺は行く。


俺は、超能力者になったのか。それとも他にも俺と同じ奴がいるのか。

もともとの力が開花したのか……考えるのは……苦手だ。

行動あるのみだ。


岩の荒野を通り抜け岩山のてっぺんに辿り付いた。


「ヘェ、ただの草原? でも遺跡?」


てっぺんから見ると、所々に石で積まれた遺跡の跡が散らばっていた。


俺は、ひょいひょいと足取りも軽く遺跡の中心まで入っていく。

その中心に拳大の黒い塊があった。


「ん?」


黒い塊に手を伸ばそうとした瞬間、弾かれた。

なんだか分からないが、危険な物――そう直感が告げた。


俺は、その塊をじっと見る。

塊は、黒く渦を巻いている。そこから靄のようなものが立ち上って、よく見まわすと、遺跡全体に薄く広がっているようだった。


「ここまで来たけど、何も見つからなかったな。”穴”はここではなかったんだな」

これから先へ行くには、帰りの時間が気にかかる。

俺は、少しだけがっかりして家路についた。



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