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周回移動都市ヴェルサイユ  作者: 犬のようなもの
《セカンドオーダー編》            [第二章]サキミネを探せ
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〔第45話〕サキミネとツグネ

独自のシステムで動くメインサーバーは人手が無くても自動で動きます。

人がゾンビになり他社の衛星が次々と使えなくなる中、メインサーバーだけが悠々と動いていました。

なので未来のバックアップの存在に気付けたのがメインサーバーだけでした。

もしかしたら、ごく一部の他社も未来のバックアップに気付いているかも?

 

 メイトンは機銃の1つをむしり取り兎達目掛けてぶん投げた。



 ——————ビュンッ!!!



 ——————飛翔体確認。



 ヴィーナス(No05)とNo08は(いと)容易(たやす)くそれをかわす。



 ——————行動終了。



「危ないッ!ナイスだよヴィーナス!」


「よよよよしッ。命中率は低い…」



 ———『当たり前やろぉ…ウチ機械じゃないんやから…』



 (なか)ば呆れたメイトンが上空で飛んでいる兎達を見て少し考えた後、拳を上に振り上げた。



 ——————ブゥォオンッッッ!!!



 豪風が兎達を襲う。

 が、ヴィーナス達はジェットエンジンを利用し体制ひとつ崩さなかった。


「ななな舐めるな…わわ私の警備ロボは数十年先の技術を使ってる…そんなんで落ちるわけないッ…!」


 メイトンは豪風を起こしても落ちない兎達を見て少し驚いていた。

 しかし、次の瞬間メイトンが謎の行動に出た。



 ——————ドゴォォォォォォオンッ!!!



 地面を1発殴り付けた。

 殴りつけた地面が大きく地割れして行く。


「…何、だ?」


「じじじ地面に…?わわわ私達空にいるのに…?」


 メイトンは投擲(とうてき)以外、上空への攻撃手段があるとは思えない。

 だからと言って無駄な事をしてくるタイプにも見えない。

 地面を殴りつける事で何が出来るとは思えない。

 いや…考えるんだ。

 きっと巻き戻った時間の中にヒントがあるはずだ…。

 メイトンは今まで何をしてきた…。

 どんな攻撃をしてきた…。


「メイトン何してたんだろ?まさか、怖気付(おじけづ)いて仲間呼んだとか?」


 フブの発言に兎は身身震(みぶる)いした。

 “居る”私達を苦しめたもう一つの存在。


「ベクターかッ?!」


「え?!兎!!ベクターどこ?!どこ?!逃げなきゃ!!」


「いいい居ない…けど…もしかしたら、メイトンはベクターを呼んだのかも知れない…ににに逃げよう…」


「まぁ元々逃げる予定だったし逃げよっか。」


「そそそうしよう…」



 ——————ゴォォォォォッ!!!



 ジェットエンジンを起動させて再び動き出す。

 2人を乗せた飛行形態のロボットはメイトンが()()()()()()()()()()で上空をゆっくり飛ぶ。



 ———『ほんまクドイ事やってくれるわ…』



 メイトンは少し前の上空にいる兎達を追う。

 走らず、ゆっくり普通に歩く。

 強者の余裕なのか、ベクターの助太刀(すけだち)を待っているのか…。


(でも、防衛省からは距離を離せているッ!)


 とりあえず、お父さんは死なずに済んだ。

 でも、私がピンチだ。


「兎、メイトン引き連れてどこへ向かってるの?」


「めめめメイトンがベクターをよよ呼んだかも知れないなら私達だってカンネ•ロード達に…たた助けを求めるッ…」


「よっしゃぁ!」


 その言葉と同時にメイトンが再び地上から何かを投げてきた。



 ——————ビュンッ!!!



 ——————飛翔体確認回避開始、終了。



 当たらない、当たるはずがない。

 正直に言ってメイトンの攻撃は時間が経つごとに雑を増している気がする。

 ヤケクソか?


「ヴィーナス、マグネシウム弾。」



 ——————了解致しました。3.2.1.発射。



 ——————プシュンッ。







 ——————パァーーンッ!!!



 激しい閃光と共に空が光る。

 兎とフブは下を向き両手で目を覆う。

 しかし、メイトンは閃光をミサイルと勘違いし、その目で直視してしまった。


『ぐぁッ!目が…目ぇ開けても何も見えん!!何なんこれ!!!凄ッ!!!』


 (なか)ば閃光を楽しんでいる様に見える。

 強者の余裕という奴なのだろうか。


「やった、兎!メイトンに効いてるよ!!!」


「そそそそうだね…!めめめ目を隠さて立って事は…せせせ閃光弾の事知ってたんだね…フブ!」


「私だって閃光弾が閃光上がることぐらい知ってるよ!ていうか、知らなかったら私もメイトンと同じ事になってたんだけどぁ!!!!!ねぇ゛ーーー!!!知らなかったらどうしてたのぉ!!!」


「ごごごごめん…さささ流石にせせせ閃光弾は知ってると思ってた…ででででも、次からはちゃんと説明する…」


「よし、それでいいのだ。」


 フブから当たり前の説教を受けた後、兎は閃光に余裕な反応を見せるメイトンに少し驚く。

 でも、この閃光弾はメイトンへの時間稼ぎと同時にカンネ•ロード達を呼び寄せる合図にもなった。

 来てくれるだろうか。

 いや、来てくれるに違いない。

 私はカンネ•ロード達に取って有用な存在らしいからだ。



 ——————ブォーンッ!!!



 事は早く進んだ。

 兎の予想通りカンネ•ロード達がやって来た。


「約束の場所にィ!!!おれやァクソガキィィィィイーーーー!!!先にアタシがァ殺すぞォゴラァァアア!!!」


「おい、カンネ!落ち着け!!!あ、暴れるな!!!」


 希望の到来(ブチギレたカンネ)にフブは大きく手を振って返す。


「こっちぃ!!!“3日後”ぶりだねぇーーー!!!」


『何ィ呑気に×○※△だァッ×○※△ ×○※△!!!』


「何、ベリ…?まぁ今はいい…お、おい!落ち着けカンネ!カンネ!!」


 兎はカンネ•ロードの到着に安堵した。


「ななな何を言っているかわからないけど、げげ元気良さそうで良かった…」


 カンネ•ロードはカスミの大きく変形したバックパックの機械の上に乗っている。

 しかし、希望と共に厄介な奴も呼び寄せたらしい。



 —————— 『ゴォーーーーー!!!』



 メイトンの居る地面から上空に向かって飛んでくる緑色の複雑な装甲に大きなボンベを背負った人型の巨大な機械。

 “ベクター”だ。

 恐らくメイトンが地面を殴ったのが合図だったのだ。

 やっぱり来たかと言うべきか?

 私の予想通りベクターがここへやって来た。


「え?!ベクターって空も飛べるのぉ?!どうしよう兎!こっち来ちゃう!!!」


「かかかカンネ•ロード!!!」


「チッ、面倒な事してェくれんじゃァねぇか。静かに周回移動都市まで行けば良いィもののォよォ。」



 —————— 『ゴォーーーーー!!!』



 ベクターが近づいてくるにつれてわかったことがある。


「チッ、何で今回は増えてんだァ?」


 ベクターがこちらに見えない様、5体縦一列に並んでいたのだ。

 カンネ•ロードはチラリとカスミの方を見る。

 カスミは静かに首を横に振る、その合図をかたきりにカスミが兎とフブの乗っている飛行形態の警備ロボに近づいた。


「ベクターが来るよ!!!」


「たたた助けてッ…カンネ•ロード…」


 カンネ•ロードが兎とフブの警備ロボを掴んだ。


「「え?」」


 次の瞬間カスミのバックパックが眩い程の青白さを放ち、大きな推力(すいりょく)で前へ進んだ。



 ——————ブォォォォォォォォォォォンッ!!!!!



 ベクターが近づいてくる数倍の速度で海側へ滑走する兎達。

 カンネ•ロードの指が兎とフブの乗っている警備ロボから離れる事はない。

 兎とフブは風圧に耐える姿勢を取りながら横目でそれを見て驚愕する。


「なッんて握力してるのカンネ•ロード…」

「ににに人間じゃない…」


 物凄い速度で空を滑走している風圧の中、カンネ•ロードがその言葉に答える。


「アタシァは普通の人間だァ!!!何の“ギア”も持ってねぇし、カスミィと違ってェ獣人でもねェ!!!」


「つまり、普通のヤバい人なのね!」

「つまり、バケモノ…」


「後で、絶対ッてェ痛てェ目ェ見せるからなァ!!!」


「落ち着けカンネ。」


 カスミが“メイトンやベクターと戦わなくて良いはずだった3回目の“やり直し”にブチギレるカンネ•ロード”をなだめる。



 ——————ブォォォォォォォォォォォンッ!!!!!



 カスミの機械が速すぎて、メイトンとベクターが完全に見えなくなった。






 メイトンはカンネ•ロードとカスミが現れた事実に少し驚き、自称サキミネが本物のサキミネである事を確信する。


『カンネ•ロードにカスミ…都市の六防の2人がサキミネを連れ去った…。ウチに追いつく(すべ)は無いわぁ…今回は負けって事にしといたるわ…。でも、待っとけよ…』










 ———————————————#####



 風圧で息がしづらい。

 カスミの出す機械の速度はどうなっているのだろうか。

 そんな中、兎は疑問に思う事があった。

 何故222(セカンドオーダー)は飛行艇ばかりを墜落させていたのだろうか。

 何故222(セカンドオーダー)は突然現れて突然消えるのだろうか。


(わからない…あの日、望遠鏡で見た222(セカンドオーダー)は魔王が出て来そうな異空間の近くに居た…)


「あっ…」


 兎は気づいた、222(セカンドオーダー)がどこの近くに現れるのか。


 異空間だ。


 今まで何故、気付かなかったのか…。

 いや、そもそも私は望遠鏡であの日見た情報しか持っていない。

 何の確証もない、が…

 もし、この説がそうだとするならば飛行艇ばかり墜落させていたのも納得がいく。


 飛行艇()狙っていたんじゃない。

 飛行艇()狙っていたのだ。


 詳しく言うと異空間が開いて222(セカンドオーダー)が出てくる時間に少しの遅れがあるのならば、その現れた異空間を国の飛行艇が総力を上げて包囲する。

 そして222(セカンドオーダー)が出て来たと同時に戦いになる。

 納得だ。

 でも、そうなると222(セカンドオーダー)の目的がわからなくなってくる。

 いや…カンネ•ロード達の発言からして“周回移動都市”を狙っているのか。

 でも、何故(なぜ)直接“周回移動都市”を攻撃しない…。


「考えろ…考えろ…」


 兎は小声を漏らすが風の音で、誰にもその声は届かない。


 攻撃しないのでは無く、“出来ない”と考える方が自然だ。

 何故、出来ない…。

 周回移動都市が強い…からか?

 それは安直すぎる…か。

 時間が巻き戻る前、少年を運んでいた222(セカンドオーダー)と瓜二つのロボットが居るからか?

 周回移動都市はそもそも強いのか…?

 私達はこの人達に誘拐されて正解なのか…?

 何故、時間が巻き戻ったんだ?

 何故、何故…。


「兎!もうすぐ到着って!」


 フブの馬鹿でかい声が兎の鼓膜を揺らした。


「はっ…」


 意識を引き戻される兎。

 進む風圧が徐々に弱くなり、そしてとうとう完全に止まった。


「クソガキ、カスミのバックパックに乗り移れェ。」


「「え?」」


「早くしろォ…」




 兎はNo05(ヴィーナス)No08(ナンバーエイト)の前で自分の肋骨を叩きながら小声で話した。


「お前らはこれから私のマンションを根城(ねじろ)に、メインサーバーを独自に発展させろ。私が帰るまで進化し続けろ。いいな?」


 しばらくのお別れとも取れる言葉。

 ヴィーナスとNo08が兎の言葉を返す。



 ——————「「承知致しました。」」



 そして、兎とフブはカスミのバックパックの機械に乗り移った。

 ヴィーナスだけが去り際フブに対し、一言(ひとこと)言った。



 ——————しばらく、兎様は任せました。



 フブは拳をヴィーナスの方に突き出し言った。


「任せとけって!」





 そして、ゆっくりカスミは進む。

 さっきまで風圧で前が見れなかったが、今は違う。

 目の前に周回移動都市と呼ばれる四足歩行の謎の巨大建造物が見える。

 まぁ1回時間巻き戻ってるからあの建造物を目視で見たのは2回目なんだけど…。

 近くに寄れば寄るほどその巨大さがわかる。



 ——————ブォォォォオオオオッ!



 謎の建造物から1体の222(セカンドオーダー)と瓜二つなロボット(スフィア)がこちらに近づいて来た。


222(セカンドオーダー)だ!!!!」


「ちちち違う…はずだよ…フブ…ほら、思い出して…」


「学習ゥ能力()ェなァ。こん(この)ガキはァ。」


「目的地まで辿り着いたから迎えが来たのだ。落ち着けカンネ。」


「アタシィは落ち着いてんだよォ!!!殺すぞォ!!!」



 ——————ゴォォォォォォォオオオッ!!!



 スフィアがこちらに近づいてきて、その手を差し伸ばしてきた。

 緩く握った手が開かれた、手のひらには見覚えのある少年が出てきた。

 そうだ、その少年は時間が巻き戻る前メイトンからの投擲(とうてき)で死ん人だ。

 その少年が兎達に声を掛けた。



 ——————『五体満足(ごたいまんぞく)ちゃんとあんな、サキミネ。俺はツグネだ。お互い面倒くさい立ち位置だがよろしくな。』


 兎もフブの後ろに隠れながらその言葉に返事をしようとする。

 が、空気をぶち壊すかの様にカスミが声を上げる。


「すまない。ちょっと、良いか?」


 カンネ•ロードが頭を掻きながらカスミに聞く。


「んだよォ。」


「先程はメイトンやベクターが迫ってきていたからあえて聞かなかったが、何故ここにベリエッタが居る?」


「ねぇ゛ーーー!!!」



カスミはあそこで死んでいたのでフブに関する記憶が無くなっているんでしたね。兎達のうっかりさん、ちゃんとカスミにフブの事説明してあげてね。by作者。


何故、都市が所有する大量のスフィアで目の前まで来たサキミネをトワイライト5000を討ち取った時みたいに迎えないかなかっのでしょうね〜。↓



【ねぇ゛〜、その話よくわかんないけど…222は必要以上にスフィアを狙ってくる…ってこと?】

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