〔第43話〕1回目、2回目、3回目
【ネネ】六防
【ヴェル•ロード】六防 ロード
サキミネって文字を打っていたら変換でサウルスって出るんですよね…。もしかして兎はサウルスなのかも知れません。
これは、“1回目”のサキミネ探しでの事。
鐘の音が鳴りやみ太陽の光が燦々と輝く昼間。
エヴァンの街から少し馬車で揺られた先の国会。
そこで周回移動都市の“精鋭”が集められた。
エヴァンテが目隠しした神々しい正装を身に纏った姿で国会の中央に立つ。
『今日は“サキミネ探し”の作戦を遂行している中でも、特に精鋭となる人達を集めました。ザッと1000人と言ったところでしょうか。』
エヴァンテは両手を大きく広げ盛大に話を続ける。
——————バサッ!
『全てが変わったのです。222との戦いが根底から覆されました。そして私達に敗北は無くなりました。』
国会の中、エヴァンテを囲む千人は静かにその言葉に耳を傾けている。
エヴァンテは表情を崩さず続ける。
『“ツグネ”の存在が全てを翻しました。ここにいる精鋭1000人にだけにそのギアを話しましょう。ツグネは己が死ぬ事で過去を遡る事が出来ます。しかも、周囲の人間の記憶を保持させたまま遡る事もできます。つまり、サキミネを見つけるまで時間を繰り返せるという事です。』
——————[おい嘘だろ…それって…]
——————[そんな事が可能なのか…]
——————[異常領域…なのか?]
——————[最強じゃないか。]
——————[制限などは無いのか?]
各々がザワザワ話し出す。
エヴァンテが片手を上に上げた瞬間、千人の口が一瞬にして閉じられる。
まるで再生した音楽を止めるかの様だ。
『ツグネが来てから早3日、ツグネのおかげでトワイライト5000を始末する事ができました。』
——————[あのトワイライト5000を?]
——————[ツグネ何者なのだ?]
——————[どうやって場所を突き止めたんだ?!]
——————[あの厄介者を。]
——————[めでたい事だ!]
エヴァンテが再び腕を上げる。
——————プツッ、シーン。
『さて、早速ですが作戦はこうです。トワイライト5000から回収した|プロメテウス専用バックパック《UFOみたいな潜水艇》を海岸に停泊させ、サキミネを見つけ次第そこへ連れて来る事。そのまま周回移動都市の近くまで潜水しスフィアでサキミネを回収。以上が作戦になります。』
カンネ•ロードの隣りに席に座っていた大柄の男が立ち上がりエヴァンテに意見を言う。
「時を巻き戻すチカラが有るのならば、サキミネを見つけ次第、時をやり直せばいいではないか。」
『私達、市民権を持つものは不老です。皆さんここにいらっしゃるという事は、死んだ事は無いでしょう。勿論、私も死んだ事は御座いません。沢山の時を生きたはずです。故にこの数千年、非道な事もしてきました。だからこそ私は人でありたいのです。私の言いたい事はわかりますねヴェル•ロード。』
「あぁわかった。ツグネの死をツグネの為に最小限に抑えよう。」
『ありがとうございますヴェル•ロード。』
その会話にヴェル•ロードの隣に座っていた背の小さな女が立ち上がり噛み付く。
「相手は事象。しかも、222上から2番目のオーダーこの意味がわかる?そんな甘い考えで勝てる相手じゃないと思うわ。」
『そうね。ネネ。今回の敵は間違いなく周回移動都市史上、過去最強の敵でしょう。状況に応じて色々対処するつもりではありますが何回ツグネの“やり直し”が必要になるか想像もつきません。』
「んで?何が言いたいのよエヴァンテ。はっきり言いなさいよ。」
『私は勝つ為に手段を選ばないと言う事を今一度ここで約束致しましょう。』
するとネネと呼ばれた背の低い女はふんっとした表情でエヴァンテの言葉に答える。
「わかってるんならいいけどッさ。」
そして、エヴァンテが国会の中にいる千人に向かって再び話す。
『最後に、ツグネを裏切る様な真似をしたものにはトワイライト5000と同じ運命を辿ってもらいます。ここにいるのは選ばれた精鋭だけなので万が一にでもそんな事は無いと思いますが、心しておく様に。では、』
そういうとエヴァンテは手を叩いた。
——————パチッ。
その瞬間、国会のドアから1人の男が入ってきた。
その男の隣にはエヴァンテの専属護衛セルフレリアの姿があった。
その男はセルフレリアと共にエヴァンテの隣まで歩いてきた。
そしてその男は国会の中央に立ち話す。
「俺がツグネだ。お前ら千人の記憶は持ち越される。じゃぁまたサキミネ見つけ次第な。」
——————バシュッ。
セルフレリアから出た白い金属の様な翼がツグネの首を刎ねる。
——————パキパキッ。
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クソガキ2人をツグネの近くまで運んだ記憶がある。
カンネ•ロードは過去に戻ったことを自覚した。
そして…
「お、どうしたカンネ。急に止まって。」
横を見るとケロッとした顔のカスミがいる。
「“2回目”のサキミネ探しが終わった。そんでサキミネが見つかった。ちょっとトラブルがあってェ作戦通りそのまま都市へって訳にはいかなかったがなァ。」
カスミは顎に手を当ててしばらく考えた後、人差し指を立てて探偵の様なポーズで話し出す。
「1回目は途中でツグネが来て時間をリセットし、2回目でサキミネを見つけ、3回目は“今”であっているのか?」
「呑み込みがァ早くて助かんぜカスミ。」
「私の記憶だけない…と言う事は私はそこで死んだのだな。」
「あぁ。」
「私は誰にやられたのだ。P個体か?」
カスミのその目に恐怖といった感情はない。
「メイトンだ。」
「ほう、メイトンか。何となく理解したぞカンネ。私は時間稼ぎをしたのだな。」
「あぁ。75点正解だァ。詳しい話はまた後でだ。今は早くサキミネを回収しに行くぞ。」
「承知した。」
エヴァンテもまさかこんなに早くサウルスが見つかると思っていませんでした。
兎が有名でよかったね♫
サキミネ探しに都市の師団員五万人が動員されました。
皆サキミネを見つけ次第、海岸の潜水艇に連れてくる様に指示されていました。
それと、ツグネの能力を知らされている人達はサキミネ探しに携わる精鋭千人しかいません。
しかもその精鋭の中の精鋭、六防のカンネ•ロードとカスミ、師団隊長のエウレカが偶々サキミネを最初に見つけたので事が早く良く進みました。
※エヴァンテは市民権を持っている者の方を無理やり閉じさせる事ができます。
※エヴァンテと六防の地位は同じぐらいです。むしろちょっと六防の方が偉いっていう空気は流れています。しかし、法律上そこに明確な上下はありません。ロードの称号は市民が勝手に始めた称号なのでロードになったからといって、これといった何かはありません。まぁせいぜい都市の中で大尊敬されどんなお偉いさんにもタメ口で話せるぐらいです。しかし、六防は違います。六防になったら自分の師団を持てます。持てる師団人数は数十万にも及び六防が自由に操れます。(お偉いさんとの付き合いなど有り、しがらみ多め。)でも、ロードと違いお偉いさんにタメ口は使えません。
※エヴァンテも大大大お偉いさんの中に入るのですが六防の6人と昔から友達なので普段から緩く話している。周りも何となくそれを把握しているのだとか。




