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実験は成功の為に

 俺はBA(バトルアーマー)から降りて、男と向き合う。危険な感じはしない。


「生きていたとは驚愕だよ、被験者番号127番君」


「誰だお前。てか実験動物みたいなその呼び方はムカツクからやめろ」


「私はしがないただの科学者だ。そして君はまさしく実験動物だったのだよ」


 なんやて!こいつどついたろか!


「何でいきなり建物が現れたんだ?」


 ルフが自称科学者とやらに問いただすと、「こちらでいう魔力が切れたのだよ。まぁ、ただの電力だがね」と返ってきた。


「電力ってなあに?」


 そんな無邪気な顔してムイムイちゃんが聞いてくるが、()()()()()()という単語に思わず反応してしまう。


「こちらの世界?どういう意味だ?」とルフが聞き返す。


「よくぞ聞いてくれた被験者番号127番君。我々地球の科学者は異世界へ通じるブラックホールのよ

うなものを開発した。それをホープ・ウェイ(希望への道)と名付けた」


 何が希望だ、好き勝手言いやがって。


「こいつはアキラって言うのよ、覚えといてね」仲間も睨めつけながら頷く。


 リリア達が俺の代わりに怒ってくれるのが分かる。仲間ってのは嬉しいもんだね。


「ははは、こちらではアキラ君というのかね。では、君たちに軽く説明しようじゃないか」


 話に付いていけないのか、仲間は黙ったまま促す。


「ホープ・ウェイは実は一方通行でね。消えても問題の無い人間を誘拐してこちらの世界に送り込ん

だのだよ。勿論、手足を縛ったままでね」


 とんでもないことを口走ったなこいつ。


「しかし、一方通行と分かっていただけに、向こうから返事がない。ああ、こちらの世界ともいうがね」


「誘拐されて協力する奴なんかいねーよ。頭の悪い政治家かよ。」


「いい所に気が付いたねアキラ君。そして続きなんだが、我々科学者もこちらの世界に来ることにした。誘拐された被験者たちに比べて、万全の準備をしてだがね」


 どうせ宇宙服だのなんだのを着込んで来たんだろうな。


「そして我々が見たのは、既に死にゆく多くの被験者とこちらに来たばかりの科学者達だった」









『死んだ者と生き残った者の違いが分からん』


『やはり魔法とやらの素質が関係あるのでは?』


『それよりも体内による細菌の環境適応の違いかもしれん』


 ホープ・ウェイ(希望への道)を使ってこちらの世界に来て一年、何の成果も得られず我々は悩んでいた。このままでは地球に戻ることすらおろか、生き残ることさえ怪しい。


 既にホープ・ウェイは破壊されており、こちらに誰か来ることは無いのが安心ではあるが。


『やはりここはエイリアンの細胞を被験者に移植してみるのが最良じゃないか?』


『しかし、人道的に問題があるのではないか?』


 誘拐をしておいて、人道などと世の科学者が聞いたら失笑ものだろう。


『まずはエイリアンの細胞を被験者に投与する。そこから徐々に解明していこうではないか』


 こうして、我々は謎の死を回避する方法を探すべく実験を開始した。


 まぁ、結果は私以外すべて死んでしまったがね。











 この話を聞いたとき俺は、このバカをどうやって消すか考えた。

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