ゾンビの記憶力と冒険と
シスの足は俺の財布と引き換えに生えた。魔法って凄いというよりお金って凄いと言うべきかもしれん。
「俺の体を二日ほど慣らした後、次の拠点を鉄の街に変更ってことで宜しく」
昨日とは打って変わって元気になったルフが俺たちの方針を決める。
「二日で大丈夫か?もう少し様子見てもいいんだぞ」と俺は心配してる振りをしてルフに延長を申し
込んでみた。
「はっ、金が無いから少しでも稼ぎたいんだろ?残念だがそうはいかねーぜ」
俺の企みはアッサリとバレた。飯はともかく酒代が無いのは辛いんですけど。
「ほら、バカなこと言ってないで行きましょう。今日は安全に西に行くんでしょ?」
「アタシはどこでも良いよ。この辺あんまり分かんないし。いつでも行けるよ」
「ね、お菓子持ってってもいい?あ、準備はバッチしです」
女性陣が立ち上がると、俺たちも慌てて準備する。・・・西かぁ。
ルフの足は心配してたより大丈夫だったらしく、苦も無く西の森に辿り着いた。
「あれ?こんなとこに建物なんてあったかしら?それどころか森になってるわ」
俺がゾンビのごとく蘇った西の地は今は森になっていた。あの時も確か森だったはずだが。
「おいゾンビ、お前は何処に埋葬されてたんだ?」
ゾンビじゃねーよ!あと埋葬とかいうな!
「確かこの辺だな。この骨とか見覚えあるし」と地面を見る。うん、土が少し減ってるな。
「ならあの建物に見覚えは?それともいきなり出来たのかの」
酒を片手に質問されたが、黙って首を横に振る。
「いや、あの時は混乱してたとはいえ建物は無かったはずだ。ましてやまだ二か月ちょっとしか経ってないから、いくらなんでも記憶違いってな分けじゃない」
仲間はそれぞれ小声で相談しだす。
「ゾンビに記憶ってあんのか?」
「さあ、でも実はエリアンが人間の振りしてるって線も」
「そもそもアキラは人間のくせに酒に強すぎるのもおかしいのう」
「お兄ちゃんは私よりお酒に弱いよ?」
「刀とか苦無を知ってるのに、常識あんまり知らないよね。あと貧乏」
こいつら、もうちょっと色々隠せよ!全部聞こえてるよ!
「しょうがねぇ、お宝あるかもしんねーし行くぞお前ら」
ルフの一言により、建物に突入することとなった。
しかし、この建物どこかで見た記憶が……?
「何もねーな、生活臭はわずかにするが」
「罠もあるけど、どれも簡単な罠しかないよー」
「今のところ、敵の気配も無いわね」
索敵三人衆がそれぞれ結果を言い合う。流石は俺よりもベテランだ。
「んー、何か嫌な予感がするのぅ。ヒゲがピクピクするわい」
「だよね、アタシの翼もピクピクしてるし」
二人の共通点はピクピクらしい。何それ欲しい。あ、やっぱ欲しくねーわ。
やがて大きな扉の前に辿り着くと、ムイムイちゃんが調べ始めた。
「んー、罠はないかなー。でも、どうやって開ければ良いか分かんない」
「新しいBAがありそうなんだが、ちとなんとも言えないなぁ」
ルフが扉を叩いたり蹴ってみたりしているが、この扉はそういうのじゃ開かないんだよな。
俺は扉の横にある装置を調べているムイムイちゃんに代わってもらった。
「多分これは生体認証で開く仕組みだ。俺でいけるか分からんが、試してみるぞ」
ピッっと音がしたと思うと、扉が重厚な音を立てて開きだす。
何があるんだろうな。
そこには眼鏡をかけた白衣の男が立っていた。




