無傷の勝利
ステータスもレベルも、ましてやスキルすらも無いこの世界ではや二か月が経とうとしていた。
「撃ってくるよ!」
慌ててBAの盾を構え、他の仲間をかばう。
「逆関のマシンガン超痛い!!」
「文句はエイリアンに言うべきよ!」
俺はメカメカしいこいつらをエイリアンとは認めないぞ!
「足にダメージが出たみたいじゃ!」
カンタからの嬉しい報告を聞きつつ、逆関に盾を叩きつける。ジュースみたいな胴体のせいか、後ろにのけ反る。四つ脚よりは不安定なんだろう。しかし、その代償に盾がへし折れた。
「ナイスよ!魔法を撃ち込むわ!」
リリアが逆関の足に土魔法を撃つ。ついでとばかりにムイムイちゃんもハンドガンを足に狙って発砲する。
魔法がそろそろ切れそうなのか、リリアの顔が心なしか悪い。
それを横目に見つつ、バズーカを逆関の胴体に当てることに成功した。
「必殺!居合切り!」
それ、唐竹割やで。
力を温存していたのか、シャルロットの刀は意外とすんなり胴体を切り裂いた。
「皆大丈夫?怪我してない?」
ムイムイちゃんに心配されるが、痛いのを言うべきだろうか。
「見たところ皆大丈夫よ。それに魔法が心もとないから、早く帰りたいわね」
リリアが魔法が打てなくなるのが心配らしく、早く帰りたそうにしている。
「そうじゃの、今日で終わりじゃし早めに切り上げるかの」
カンタは大した疲れも見せず逆関を引っ張ろうとしている。相変わらず力こそパワーだ。
「また悪人を切っってしまったか」とか「今宵の将軍は血に飢えておる」とかアホな事を言う残念侍を無視して、ムイムイちゃんに返事をする。
「大丈夫だぞ。流石にマシンガンは痛かったけどな」
と言うと安心した顔をしたようだ。
早めに切り上げて明日の準備を終え、今日も酒場に繰り出す俺たち。
「じゃあ、今日の戦勝と明日の旅の無事を祈って、乾杯!」
「ぷはー、やっぱり戦いに勝った酒は別格じゃのう!」
「そう言って、いつも別格扱いして飲んでるだけじゃない」
「今日は誰も怪我しなくて良かったね。いつもこうだったら良いのに」
「ねね、それよりもこの刀の名前村正にしようと思うんだけど、どうかな?」
お前ら凄い自由だね、俺も自由になりたいよ。そう、金に縛られることのない人生を。
「元気出しなさいよアキラ。ちょっとお金が無くなったぐらいで落ち込まない」
銀貨二十枚は半端ないんですけど。ちょっとじゃなくて全財産なんですけど。
「仕方あるまい、盾は命を繋ぐ大事な防具じゃからの」
カンタさん、酒奢ってくれて有難うございます。一杯だけですかそうですか。
「お菓子食べる?美味しいよ?」
あーんされたお菓子も美味しいが、ムイムイちゃんの右手のお酒はもっと美味しいんだけどなぁ?
「アキラ!村正と政宗どっちがいいかな!?」
黙ってれば美人なのに、言ってることは残念だなコイツ。
今日も貧乏になりました。




