宇宙人さん
「サワ兄、今日のテストはどうだった?」
「ん? 結構いい点とれたと思うよ」
「そう……」
寝不足気味の顔で、しょんぼりしているヤコ。昨日の晩、俺をぶん殴るために、部屋の外で待機していたからだと思う。なんか申し訳ない気持ちだ。
「ヤコは頭がいいから、結構いい点だと思うよ」
「ありがとう。けど、全然だった。あーあ」
帰る準備をしていたら、ユウカさんが鞄を持って俺たちに話しかけてきた。
「昨日はしっかり勉強ができた、ありがとう」
「一緒に勉強していたところが出たからよかったよ」
「ああ、さすがヤコさんだと思った」
「ま、まぁ、あれくらいは予想できるわよ」
「今日のテストは少し不安だったんだ、ありがとう。じゃあまた後で」
ユウカさんは、二本指を揃えて敬礼のような砕けた感じの挨拶をして、颯爽と帰っていった。
「サワ兄。何を見てるの?」
「めっちゃかっこいい」
「もう!」
「お、お前もそう思っただろ?」
「思わないわよ! あんなやつ!」
ヤコの顔は図星だったようで、面白い表情だ。
「ほんと母さんに似てるけど、他人の空似だよな?」
「知らないわよ……い、いや、たまたま似ていただけにしないと怖いから、この話は終わり!」
いつものように、ヤコに腕を組まれてそのまま自宅まで引きずられていく俺。クラスメイトも見慣れた風景なので、男女の双子の見本のような感じで皆に見送られて学校を出てきた。
自宅に着くと、宇宙人さんが鍋を持って自宅に帰るところだった。
「サワさん、ヤコさん、こんにちは」
「宇宙人さん、今日も母さんの肉じゃがですか?」
「はい、あなたたちのお母さんのお料理はおいしいので、いつもおすそ分けしてもらっています」
「今日は食べていかないんですか?」
「はい、私もちょっと用事があるのでご一緒できません」
「そうですか、今度また一緒に食べましょう」
宇宙人さんは、身長2.3mほどある巨人だが、幼少のころから普通に接しているので違和感はない。近所の人たちもこれが当たり前になっているので何も言わないが、たまに商店街で黒山の人だかりになっていることがある。
そう言えば、宇宙人さんは母さんと一緒に銀河系外の宇宙探索……いや、WASSPと宇宙人さんがなんか関係があるとか言ってたな。あとで聞いてみるか……。
「サワ兄、何をぼーっとしているの? 家に入らないの?」
「あ、WASSPに会ってくるよ」
ヤコはそのまま家に入った。母さんが、WASSPに聞くといろいろ教えてくれると言っていたので、ちょうどいい。ヤコがいる状態でWASSPが変なことを言ったりしたら大変だ。
WASSPは、自宅の敷地の端っこにある。確か……母さんは、宇宙戦艦とか言ってたな。どう見てもカマボコみたいな半円の建物なんだけどなぁ。
丸くて大きな穴のある場所の横に、小さな扉があるのでそこから入る。中は廊下が続いているが、すぐにWASSPのいる部屋にたどり着く。幼少期はここでよくヤコと遊んだもんだ。
「坊ちゃん、どうかしましたか?」
「母さんが、WASSPに聞くといろいろ教えてくれると言っていたので、いくつか聞こうと思ったんだ」
「そうですか、奥様からそれは伺っています。知っている範囲でお答えしますよ」
「ありがとう。まず……お隣さんの宇宙人さんはWASSPと関係があると母さんが言ってたんだけど、何か知ってる?」
「はい、宇宙人さんは、私を作った文明の人ですよ」
「マジ?」
「はい、私たちはNGC5694という球状星団出身なんです。300万年前に、そこで戦争がありました。その時の生き残りが宇宙人さんなんですよ」




