022体目 アンドロイドの人権
人権とは、人の権利。
では、人ではないアンドロイドに人権はあるのでしょうか。
傷つけられても。
怖いと思っても。
帰りたくないと願っても。
「所有物だから」で終わってしまうのでしょうか。
ムギじろうを守るため、浦姐ぇたちは新しい一歩を踏み出します。
今度の相手は、成田金造だけではありません。
「アンドロイドは何なのか」
その境界線です。
それから一週間後。
橋上先生から連絡が入った。
『本日、裁判所に訴状を提出しました』
浦姐ぇは、その短いメッセージをしばらく見つめた。
訴状に不備がなければ、裁判所から成田金造のもとへ訴状の副本と、第一回口頭弁論の期日を知らせる書類が送達される。
つまり――。
今までは、こちら側だけで進めていた。
だが、裁判所から訴状が届けば、成田金造も知ることになる。
ムギじろうが、ただ行方不明になったのではないことを。
そして、自分が「お前」と呼んでいたアンドロイドを守るために、動き出した人間たちがいることを。
「僕、頑張ります。怖いけど……頑張ります」
ムギじろうは、そう言いました。
怖くないから立ち向かうのではなく、怖くても、自分の意思で立ち向かう。
名無しだった彼が名前を欲しがり、ムギじろうになり、今度は自分の居場所を守ろうとしています。
そしてコメたろうの中には、新しい疑問が残りました。
人権とは、人の権利。
では、自分たちアンドロイドは――?
その答えを探すより先に、橋上先生は動き始めました。
裁判所へ提出された訴状。
次にそれを目にするのは――。
成田金造です。




