甘い痛み、心の奥に
「メリッサ様、お待たせいたしました。」
お気に入りの窓辺のソファに座りつつ、ライ様と再会した頃のことを思い出しながらアルマの声に気がつき目を開けた。
「おかえり、アルマ。目的の本はあったかしら?」
「えぇ。先ほど第二王子殿下とプラチナブロンドのご令嬢と一緒にいらっしゃるのをお見かけしましたが、何かあったのでしょうか?」
「ライ様がこちらでお休みされているのをシャルがお迎えにきたのは知っているけど、シャルの色彩はプラチナブロンドではない。」
他にもご令嬢がいらしたのね。
では、先ほどのライ様のあの態度は学院の頃と同じようにしていたと言うことかしら?
あの頃の牽制より酷い感じがしたけれど、何か起こっている可能性が正しいかもしれないし、シャルが迎えにきたとお言うことは執務を抜け出してる可能性もある。
一緒にいたご令嬢がシャルであれば。納得はできる。
ピリピリと言うより、周囲に対してのイライラという表現が正しいかもしれない。
少し持ってきてもらった本を読んで、ほんの貸出許可を得るために再びルイ様に本と一緒に許可証を提出する。
「シャーロットとライラックがいたでしょう?少しはお話はできましたか?」
「・・挨拶をすることはできましたが、ライ様の機嫌が悪かった気がします。」
「ふふ、よくわかりましたね。シャルの恋を喜んでいいのか、自分の気持ちが恋じゃないのか悩んでますからね。そろそろ私としては、シャル離れをしてほしいものです。」
どうぞと、本を手渡されれば若干淡い光を放った。
「この光が赤になれば返却期限が過ぎていると思ってください。貸出期間は2週間です。」
「ありがとうございます。」
ルイ様に一礼をして図書館を出た私とアルマはノアお兄様がいらっしゃる客室へと戻った。
その日はそのまま客室でお兄様と共に夕食を食べて、少しだけ借りてきた本を読んで、ベットに入る頃には移動の疲れもあってか、ぐっすりと眠ることができた。
翌朝、支度をしていた時、扉をノックされる音がしてアルマが扉を開ける。
誰がきたのだろうと、会話に耳を澄ますと聞きなれた声が聞こえてきた。
ソファに座っていた私が立ち上がったところでお兄様が寝室から出てきた。
「おはようございます、お兄様。」
「おはよう。メリー。こんな朝早くから来客かい?」
「えぇ、アルマが対応しておりますが、おそらくシャルかと思います。」
「エレノアール侯爵令嬢が?」
「はい、私も出て参りますわ。」
「私も一緒に行こう。」
入り口の内扉を抜ければ、アルマとシャル、侍女のマリーが立っていた。
「おはよう、シャル。」
「おはよう、メリー。」
お兄様と目が合ったシャルはカーテシーをする。
「朝早くから申し訳ございません。お初にお目にかかります、ノア王太子殿下。私はエレノアール侯爵家末子、シャーロット=フォン=エレノアールと申します。妹君のメリッサ様とは幼少期より仲良くさせていただいております。」
「初めまして。妹がお世話になっております。エレノアール嬢。オステン王国王太子、ノア=シュナイザー=オステンです。本日はどうなさいましたか?」
「朝食をご一緒にいかがでしょうかと、お誘いにあがりました。」
「朝食をですか?」
「はい、この時間ですので、ラザルート様とライ様になりますが。よろしければいかがでしょうか?」
「せっかくだから、ご一緒していただくよ。」
「ありがとうございます。ご準備がお済みでしたらこのままご案内いたしますが・・・・。」
「私は大丈夫だけれど、メリーは?」
「私も大丈夫です。」
「では、ご案内させていただきます。アルマさんもどうぞお大事にご一緒にいらしてください。」
にっこり笑みを浮かべ、シャルがいつも食事をしているという食堂へ案内された。




