一通の招待状
小国オステン王国。
王都にある王城には、現在国王、第1王妃、第2王妃と、王太子夫妻、王太子と同腹の末姫が住んでいる。
他の王子や皇女は婚姻を機に王城を出てそれぞれ与えられた領地に、かぞおくと共に暮らしている。
兄妹は多いが、王妃同士の仲が良好な為、無駄な争いはなく王子皇女たちの中も良好な関係を築いている。
末姫のメリッサ=ジョゼフィーヌ=オステンはラベンダーの髪に、スカイブルーの瞳をもつ兄妹のだから中でもおっとりとした性格のお姫様である。
メリッサはオステン王国内では珍しく魔力量が多く、幼少期より隣国のフレイアス王国に留学をしていた。
先日、創立記念パーティの後に帰国した彼女は、フレイ明日王国内の情報を積極的に知ろうとはしなかった。
ただ、幼馴染でありフレイアス王国第二王子、ライラック=ウィル=ディア=フレイアスと六侯爵家唯一の末姫シャーロット=フォン=エレノアールとは手紙のやり取りはしている。
そのやり取りもままならないのは、帰国後から急に増えた縁談をどうにか言い訳をして断るかということに疲弊をしていたからだ。
正宮に行けば、登城している貴族の嶺速たちに声をかけられるので、よほどのことが無い限り自室で本を読んだり、刺繍をしたり、国内の令嬢たちとお茶会をして情報を集めたりと、自身の立ち位置を確認をしながら王女宮で過ごしていた。
そんな中、急に父である国王陛下より呼び出しがあった。
「メリッサ様、国王陛下が至急執務室にくるようにと、ご連絡がございました。」
メリッサの私室に入室後、そう伝えてきたのは紺色のワンピースに、白いフリルのエプロンをつけた、メリッサ付きの侍女である。
「お父様が?・・・・また縁談の話かしら?」
読んでいた本を閉じてため息混じりに立ち上がると、侍女アルマに身なりを整えてもらう。
そしてそのままアルマを連れて国王の執務室のある正宮へ向かった。
正宮へ向かう長い廊下を歩いている途中で、同腹の兄である王太子とであった。
「メリー、君も父上に呼ばれたの?」
「ノアお兄様。はい、至急来て欲しいとのお達しでしたので。」
「僕も同じく急に呼び出されたから、一緒に行こうか。」
手を差し出され、そのままエスコートをしてもらいながら執務室の前までくると入り口にいた騎士がドアを開いてくれた。
アルマは私たちが入室するのを確認すると入口隣にある控室へと入っていくのを閉じる扉越しに確認をした。
失礼します。と室内に入ると、国王が応接台にのあるソファに座り、紅茶を飲んでいた。
「2人とも来たか。座りなさい。」
「はい。父上」
「はい、お父様」
私たちがソファに座ると、執務室付きの侍従がすぐさま紅茶の用意をしてくれた。
用意された紅茶を一口、口に含みお父様からの言葉を待った。
「王太子に1ヶ月後に行われる、フレイアス王国国王の、誕生祭があることは覚えているか?」
「はい。」
「実はな、フレイアス王国第二王子より、メリーを指名で兄君である王太子殿下と一緒に参加をしてほしいと個人的に招待状が今日届いた。」
「ライ様からですか?」
予想外に出た幼馴染の名前に驚きつつも差し出された手紙を受け取った。
「ライラック王子殿下とエレノアール侯爵令嬢のシャーロット様とは幼馴染のような関係性で今まで関わってきましいたので、今でも個人的に手紙のやり取りをしておりますし。」
「公式的にも指名で手紙が来たということは、2人には、1ヶ月後のフレイアス国王の生誕祭には同行してもらうことになるから準備をして欲しいという話だ。」
「わかりました。急いで準備を始めます。」
「それとメリー。あまり焦らせたくはないが、特定の意中の相手がいないのであれば、そろそろ婚約者を決めるように。期限は誕生祭帰国ごより1ヶ月までとする。」
結婚相手の選定にとうとう期限がつけられた。
とならば、次に持って来られる縁談を断ることはできないのだろう。
お父様もおしゃられる通り意中の相手を告げなければ。
震えそうになる声でなんとか抑え込み、小さく返事をするとノアアニサマと一緒に執務室を後にした。




