私が私に生まれて、貴方に出会った
ライさまの誕生日当日、プレゼント専用ボックスというものを設置はしたものの直接渡したいと思う女子生徒は多く、ライさまはその日朝教室に顔を出したかと思うと早々に生徒会室へと引きこもった。
クラスメイトに迷惑をかけると言う理由で。
私はというと、授業途中ちょり体に火照りを感じて医務室へ行こうかと、授業の間の休憩に入ったタイミングで立ち上がり少しぼーっとする頭で医務室へと向かう。
その途中で数人の明らかにライさまに付きまとうというか、パーティや武道会でいつも取り囲んでいる令嬢の1人に捕まってしまった。
「ごきげんよう。エレノアールさま」
基本的に会の爵位の者が上位の爵位のものに話しかけることはできない。
だが、ここはあくまでも学院でその縛りは常識の範囲内では適用されない。
つまり、普通の会話をする分に声をかけるのは問題ない。
揉め事ではなければ。
見なかった事にして通り過ぎたいが、ばっちり目があってしまったし、家名を呼ばれたのだから立ち止まるしかない。
「ごきげんよう。スニオンさま」
「エレノアールさま、いつまで王子殿下のそばにいらっしゃるの?」
「その質問に私が答える必要はないと思うのですが・・・・。」
「私、王子殿下と演壇の話が進んでいますの。」
「まぁ、そうですの。」
と、どこか勝ち誇った表情で言い放つ彼女に内心ため息をつく。
王子殿下、どちらの王子殿下の事を言ってらしゃるのだろうか?
ライさまに関しては、お互いの気持ちを整理するまで仮婚約を続ける約束をしたばかりなので、相手がライさまだった場合スニオンのさまの妄想ということになるのか、それともライさまが確認をしたい相手だったのか。
どちらにしても私に連絡があるはずなので、イエスともノーともいえない状況である。
まぁ、一応彼女は伯爵令嬢。
身分的にもギリギリ王族へ嫁ぐことができる。
でも確かこの手の人間をラザルート殿下、ライさまもこのまないはずだ。
まだ、六侯爵家との婚姻の方が現実味があるけど、王子殿下かぁ。
どちらにしてもご本人さまに確認をしてからかしら。
ってことにした。
「なぜそれを私に?」
「魔力が私より少ないエレノアールさまに王子殿下は相応しくないのですもの。なので、王子殿下の妃候補から外れていただけないでしょうか?」
「そばにいないでとか、候補から離れないとか、スニオンさまはとてもわがまま・・・・いえご自身に、とても自信がおありでは無いのね?」
「っな?!」
「そもそもそうやって私の事を、“魔力が少ないから”と罵るものが王子妃・・・・・、王室に嫁げると本気で思ってらっしゃるの??」
「侯爵家の娘というだけで、候補に上がっているくせに!!」
顔を真っ赤にして、制服のスカートを握りしめながら、私を睨みつけてくる。
私が学院に登校しているから王子妃候補から外れたのだと思っているのだろうけど。そろそろ解放してくれないかな?と大きく息を吐く。
正直きつい。
だけどそれを、周囲にはわからぬように振る舞う。
あの式典には貴族は全員参加できててるから、情報の共有はきちんとされていると思っているのだけれど、そうではなかったようだ。
この勘違い娘、自分の都合の良い方に思い込んでいるのだろう。
私の体の状況に関しては六侯爵家以下には伝えられていない。なので知らなくても構わないのだけれど、この具合の悪い時に勘弁してほしい。
「毛いいかしら?私行くところがあるのだけど。」
会話を終了させようと、少し投げやり気味に言えばそれが気に入らな無かったであろう彼女は私を思いっきり突き飛ばした。
「きゃー ーーーーーーーーー!!!!」
という女子生徒の叫び声が聞こえた。
いつもなら踏みとどまることができたのだろうけど、今日はそうはいかなかった。
そういえば露桜花の端にはハラハラと見守る会貴族や平民の生徒たちの姿が会ったな。
と思い出す。
後方へスローモーションなのように景色が見え、次に来るであろう衝動に受け身を取るために動く。
しかし衝撃は一向に訪れず慣れ親しんだ香りに包まれた。
そして安堵感から、熱のせいかわからないがそのまま意識を手放した。




