唯一の公女
フレイアス王国は大陸一の大国であり、比較的温暖な気候で過ごしやすい国だ。
首都フレイを中心に東西南北6つの領地があり、首都を守るような形で国が守られている。
肌の色は地域によって違うが、髪の毛と瞳の色彩は魔力量が高い人間ほど薄く、逆に平民などには色素の濃い色の者が多い。
色彩の違い差別など遥むかしに廃止されたというのに、伯爵家以下の古いしきたりを重んじる貴族には、魔力が少ないのは、恥ずかしく、出来損ないだと言う一族もいる。
フレイアス王国は、王家のフレイアス家、教会や、光魔法を得意とする者が多い聖のアトラス家、生産や加工を得意とする美のエスティル家、武術も魔法も得意の武のマルグリッド家、外交を務めるオヴェリア家、司法の一族、法のヴァリエーレ家、そして代々宰相を務める知のエレノアール家の高位貴族が存在する。
この侯爵家は男児が生まれやすく、逆に王族は女児が生まれやすい。
なので、仮婚約というものを年齢の近いもの同士で結ぶ決まりがある。
ただ、フレイアス王国の人間は基本的に恋愛結婚をするものが多い。
平民は恋愛結婚が当たり前だし、貴族の中でも恋愛結婚を推奨されている。
理由は豊穣と愛の女神が愛した国だから。
なので、仮婚約だとしても本人達にその気が無ければ成人の儀の時に仮婚約は解消される。
そしてやく500年ぶりに侯爵家に女児が誕生した。
六侯爵家唯一の公女。
シャーロット=フォン=エレノアール。
エレノアール家の末姫だ。
彼女が誕生したのは、フレイアの誕生日ということもあり、国は大変なお祝いムードだった。
そして約1ヶ月後、王妃様が王子を出産し2人の仮婚約がすぐ結ばれたのであった。
2人の顔合わせは、五歳の魔力測定の日に行われた。
2人とも魔力量に差はそんなに変わらなかった。
シャーロットは、貴族社会では中の下の魔力。
つまり平民と変わらない程度の魔力量だった。
対して、シャーロットの後に生まれた、ライラック=ウィル=ディア=フレイアスは魔力量は中の上。
つまり将来的に2人の魔猟区領の違いで、母体が亡くなる危険性も、子供が出来にくい可能性もかなり低いと安心慣れた。
魔力量の少なさに影でいう人間もいたが、そもそも、エレアノール家に求められるのは知識であって、魔力量ではない。
ではなぜ、魔力量もある程度欲しいという理由は王族に嫁ぐには強い魔力を持った娘が望まれるからである。
王太子の魔力測定の時に女神のお告げがあった。
5年の間に女神の愛子が生まれると。身分はわからぬが、私の血を引いている娘ということを告げられた。
この国で女神の血を多く引いているのは、王族、そしてロク公爵家の人間である。
もちろん侯爵家以下の貴族家でも血を引いているものがあるが、それはかなり昔の話である。
侯爵家に女児が生まれれたのは500年ぶり。
女神の愛子が前回誕生したのは、約200年前の話だ。
シャーロットからすれば曾祖父の時代の話であるし、その時は王族に誕生したと記録がある。
そういう理由もあり、王族が王子、侯爵家側が女児という仮婚約は、約500年ぶりに本人達の意思関係なく結ばれたものだった。




