僧侶の遺した日記 37 「辛勝」
ここまで来たならもうなんとかして倒さないと
ワイバーンに何か弱点はないのだろうか
「ほんとに大丈夫かなぁ」
「信じてやるしかあるまい」
勇者と賢者の提案だった。ダンジョンコアの間はかなり開けた場所ではあったが、ワイバーン程大きな魔物が自由に飛び回れる程には広くはないはず。なんとか上に乗り動きを封じるから弱点の喉を撃ちぬいて欲しい。と。
「正真正銘最後の魔力です。行きますよ!」
賢者の跳躍の魔法でこっそりとワイバーンの背中に乗る。途端に暴れ出すワイバーン。
「うわ!このっ!」
ドシャア!と派手な音と共に賢者が落ちてきた。
「いたた……、これでほんとに小さな灯りを灯す魔力も尽きました。翼か角か……傷つけられたら落ちないまでも下に降りてくるか……もう少し動きは止まるはずです」
翼を大きく動かし暴れながら口から炎のブレスを吐いて暴れ狂っている。
炎のブレスが渦を巻き炎の竜巻となり勇者とワイバーンの様子が分からなくなってしまった。
「ただでさえ暑いのに凄い熱波……。中の様子全く分からないけどこれ……。どうするの?」
「うーむこれは……。まずそうだな」
うっすらとワイバーンと勇者の影が見える。振り落とされた?!
「ちっ……」
魔女が消えた、短距離の転移だろうか。魔女も魔力……流石に大丈夫なのだろうか。
グルルアアァァ!
っと胸に響く咆哮が聞こえる。竜巻で何も見えない……。
少し炎の勢いがおさまり始め、勇者と魔女の影が見える。魔女に肩を持たれる勇者……と……大きなワイバーンの影が……!
「あ、あぶな……!…………い……?」
竜巻がおさまり視界が開ける……。全身黒焦げの勇者。魔女は……左半身がチリチリと焦げ、左肩から袖は燃え尽き、かなりの火傷のようだった。
ワイバーンは……喉を光の柱のような物に貫かれて絶命していた。しばらくすると柱もワイバーンも光の粒子になり消えていった。
「無事か……?全く無茶してくれる……これなら最初から私が奇襲した方がマシだったじゃないか?」
「あはは、鉄サソリの鎧のおかげで……見た目ほど火傷はないよ……ありがとう。なんとかワイバーンの防御結界を作ってる角を折ろうと思って……なんとか折れて良かった。僕より……魔女の火傷の方が酷いじゃないか!?」
「転移した瞬間に目の前が火のブレスだったからな……咄嗟に防御したが……流石はワイバーンだな…………」
「2人とも……無事で良かった……無茶しないでよもう!」
なんとかワイバーンを倒す事が出来た。
この後……お姫さまを助けて……なんとか地上に戻らないと、まだ道半ば……。
その後のワイバーン
「あの後ワイバーンってまた再生するんですか?」
「そうだな。あの空間自体にそういう術式を仕込んである」
「良かった……。深淵の魔物に骨も遺らず消滅させられてたから」
「なんだ、喉ぶち抜いた時に消えた理由は不滅だったからか」
「ワイバーン……不憫な……」




