僧侶の遺した日記 34 「煉獄館」
ダンジョンまでの道中、会話は少なかった
魔女と賢者……険悪にならないといいのだけど
賢者の戦い方は……独特というか、効率的だった。
洗脳したり、魔法を封じたり、動きを封じたり。そのモンスターの特性、特徴、弱点をよく理解し、最小限の魔法で相手を仕留める。
戦い方はまだ良かった。
「あの……いくら魔物でも……生きたまま解剖はちょっと……。」
「何故です?カエルや虫の解剖、学術院でやりませんでしたか?」
「わ、私は幼少時は傭兵団に居て……学術院に入ったのは高等部からなので……そういうのはしてなかったと思います……。」
「なんと勿体ない……。」
うぅ……殺さない術に長けてるのか解剖……というより解体に近い事をされても魔物は生きているようだった。
ごめんなさい……。心の中で、謝った。
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砦ダンジョン、通称『煉獄館』
踏破率12%
砦ダンジョンの踏破、とは魔王城の結界を張っているダンジョンコアと呼ばれる巨大な魔晶石の破壊である。
北の魔王城は過去幾度となく攻めいられ、煉獄館も攻略されてきた。
ただ、氷針樹の大森林と違い、魔族が管理拡張を続けるダンジョンであり、過去の攻略情報と齟齬が起こる事がよくある。階層についても現在は12階層あるが1階層1階層が非常に複雑で起伏にも富んでおり。階層分け自体も少し曖昧である。
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「館……と言う割には隠すように小さな出入口だな?」
「結界を守るためのダンジョンですからね。入口も報告にあった場所とは違います。注意を怠らないようにしましょう。12層にダンジョンコアの間があるはずですが……変わってる可能性もあります。慎重に行きましょう。」
中に入ると物凄い熱気だった……喉が焼けさそうに熱い……。
「口元……失礼しますね。」
賢者が口元の空気が冷える呪文を施してくれた。なんて器用な……。
中は館……というだけあり、崩落してる箇所こそあれど、床も天井も壁も綺麗に整えられている。
「厄介だな、どこにどういう罠があるのかわからん……認識阻害の魔法もわざとだろうが……乱雑に施されていて酷く神経を使う。」
1層、2層と大した罠も見当たらずに順調に進んで行く。
「ここの魔物……皆武装してるんですね。」
「一応あちらも魔王軍ですからね。ここ1000年はエィトロの侵攻以外での王都領内での目立った被害はありませんでしたが……。」
「何か理由があるのだろうか……。……あれは……リザードマン……か?」
恐らく3層目への扉、その前にゴツい甲冑に身を包んだリザードマンが2匹……立ち塞がっていた。
「ダンジョン攻略っぽくなって来たじゃないか。まだ浅い層だ。極力消耗はしたくないのだがな……。」
魔女の言う通りだ。今何層あってどれだけ門番がいるのかも分からない。慎重に使う魔法を選ばないと……。
砦ダンジョンの構造
本来は各階層毎に決まった扉を通らないと先に進めない構造になっていた。
数々の過去の勇者や冒険者との戦いで、特に浅い層は崩落が激しく、扉の意味を成していない箇所があった。




