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勇者は魔王を倒しました  作者: 匿名記号
焚章

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僧侶の遺した日記 33 「魔雷」

式をあげてから数日


夢のような一時を過ごした、今日また私たちは旅立つ

「なんと興味深い……このような膨大な術式を感覚だけで組んでいるとは感服致します。」

「ふふん、王都の堅物では思いつかんだろう。」


 魔女の使う魔法、やっぱり規格外な物だったんだな……見たこともない魔法も多かったが私が無知なわけではなくて安心した。


「ですが無駄も多い……こことここ、重複していますし、ここをこうすると……。」

「おぉ!凄いなお前!半分の魔力で放てそうだぞ!」


 チラっと見たが、見たこともない量の文字列が並んでいる。とんでもない人たちだな……。


「待たせてすまない。そろそろ行こうか、本当に賢者も来てくれるのかい?心強いけども……。」

「えぇ、ここの魔人は解剖すると村人に解剖されそうですので、残るは魔王軍最後の魔人です。同行していれば会えるでしょう。一応王からこちらへ赴くための魔晶石の用意の対価として密命も受けてはいます。道すがら終えられる事でしょうし、必要なタイミングでお伝えします。」

「密命……。そうまでして魔人の謎を……?」

「ええまぁ、尽きぬ探求心が私をこの地位にまで押し上げましたからね。」


 勇者と合流し、村の出入口まで向かう。メイフィスと女戦士、何人かの村人が見送ってくれた。


「勇者よ、くれぐれも頼むぞ。」「みんな……気を付けてな……。全部終わったらまたここにも立ち寄ってくれよ。」「気ぃつけてな。」「また来てね。」


 良い村だったな……。また来たい。全てが終わったら今度は……お父さんや、傭兵団の皆。勇者の家族も呼んで。またここで……。


「さて、このまま魔王城に向かうのか?」

「いや、あの結界、あれがダンジョンコアと呼ばれる魔晶石を破壊しないと突破出来ないものなのだろう。」

「砦ダンジョン……どこにあるんだろう……。メイフィスさんや村の人たち……は教えてくれなさそうだね。」

「あぁ……それなんですが……私の密命というのも……」


ッッッッゴッ!!!!


 ……過去に見たモノよりも……一際赤みを帯びた()()()()……。

 太く、禍々しく、汚らしい。そう感じた。……汚らわしい…………?

 魔王城こそ無傷だったが、先程まであった結界は跡形もない。


「名を魔雷(アルヴァド)と言う。神殺しの()()()()だ。本来は辺り一帯消し飛ばしてしまうのでな、なかなか使えん。」

命名魔法(ネームドスペル)……初めて本物……見たかも。」

「こんな魔法まで使えたんだな……魔女、こんな威力の魔法なんて……おとぎ話どころか神話の……。」

「魔王城の結界を吹き飛ばすとは……なんという威力……。」


 魔法の余波なのか魔女の髪の毛も逆立っている。


「ふぅ……魔力の消費は転移魔法程ではない、まだまだ私は戦えるよ。まぁ……すぐにもう一発は撃てんがな。」

「このままダンジョン攻略なしで行けるなら……消耗も少なくて助かるね。」


 そう話していた時だった。


「あの、ちょっと待って欲しいんです。わたくしの密命というのが、あちらのダンジョン『煉獄館』の隠し部屋に監禁された王都の姫君の救出なのです。」

「な?!どうして姫が?1000年未踏の地では……?」

「それはあくまで人間側のみですよ。魔族は王都領に来られます。拐われた……と伺ってます。」

「そ、そうか……確かに……魔女、すまない……せっかく結界を破壊してもらったのに……。」

「………………いや、構わん、私が先走っただけだしな。」


 明らかに不機嫌だった。最初から賢者も言っていれば無駄な魔法力の消費は抑えられたのに……。

 私たちは結局、砦ダンジョン『煉獄館』の攻略をする事になった。

ネームドスペル

魔法は形態化されていないため名前が付いているものは少ない。一部の生活に使われている一般的な魔法に名があるものもあるが。国ごとに違ったり大陸を渡れば別の名前がついている事が多い。

一部の魔法使いは自身の扱う最大の火力の呪文に、名を付けている。二つ名がそのまま自身の魔法名になる魔法使いも多くいる。

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