僧侶の遺した日記 30 「告白」
重い空気だった
勇者の選択は……
「唐突にそう言われても……僕自身も混乱している……。いくつか質問してもいいかい?」
「構わぬ、遥かむかし、ここに来た勇者たちも二つ返事ではいと言ったものはおらん。」
勇者の選択に私は従おう。私自身はそう決心した。魔女はどうなんだろう。
「僕からは、君たち魔神……魔人……が正しいのか?正体は人間でいいのかい?」
「そうだ、魔人だ。たまたまだが約1000年毎に1人ずつ。元勇者が三人……正体は……考えた事も無かったのう。魔王のなり損ない。もしくは……この世界の人間が魔族になったもの……じゃな。」
元勇者……。聞けば聞くほど疑問の方が増えていく。どうするんだろう勇者。
「魔人……は不老不死なのか?」
「いや、純粋な魔族はほぼ不死に近いようだが、魔人はどうやら寿命があるようだ、ワシは寿命が近い。」
「……魔王は……話せるのか?」
「どういう意味でじゃ?会話は可能じゃ。ワシは……あの魔王を……殺せなんだ。悲劇の始まりの一つはワシのせいじゃろうな。」
「そうか……ありがとう。僕の返事は……決まった。」
固唾を飲む……。メイフィスも眺めている。何か物思いに耽っていた魔女も勇者の方を見やる。
「旅はこのまま続ける。僕は、魔王と話がしたい。」
「…………そうか、問答無用で倒すわけではないのなら。じゅうぶんじゃ。だがワシも魔王側。邪魔こそせぬが魔王城攻略の手助けも出来ぬからな?」
「いや、じゅうぶんだ、ありがとう。」
旅は続く……魔王討伐……そうなるかどうか。直前まで分からないのだろうか。
「ずっと悩んでいた。勇者になるきっかけになった魔族と……話す魔物。大森林にも居た話す魔物。話せば……分かり合えるんじゃないかって。」
「その言葉が聞けたなら心配は無用そうじゃな。さて、そろそろ広場に降りようかの。」
メイフィスにそう促され。山を降りる。
「僧侶……ちょっといいかい?」
勇者に呼び止められ、村の奥の丘に連れられる。
「ここなら大丈夫……かな?」
「えと……どうしたの?大事な話なら、魔女も呼んで来ようか?」
「いや、いいんだ。君だけに伝えたかったんだ。」
「…………?」
どうしたんだろう?固まって動かない。
「初めて会った時から気になる子だった。一緒に旅に出て……いつも傷ついてばかり、もうこのタイミングしかないと思ったんだ。僕と、結婚して欲しい。」
あまりに唐突に感じた……いやでも……魔王門の辺りから気遣いの頻度も変わって……私も……私の気持ちは……。
「ちょっと……急過ぎない?でも……勇者らしいね…………。はい、よろしくお願いします。」
幸せな気持ちが溢れる。私は……この人のことが好きだから……ここまで来れたんだ。
ペテン師
「北の真の魔王はお前ではなかろう。」
「……なぜそう思う?」
「勇者の選択がそれでも倒す。だった場合。あの城は魔物だらけのまさに魔王城に相応しい難攻不落の城になっていたであろう。その采配が出来る者……お前では無い。」
「ふっ……そうだな、お飾りの魔王だったよ。それでも我は……。」
「え?魔王って勇者さまが倒したやつ以外もいるんですか?」
「………………お前……座学……増やそうな……。」
「ええぇ?!」
「ところで、城に行ってないお主が何故知っている?魔人が采配していたと。」
「うん?…………乙女の秘密……だ。」




