僧侶の遺した日記 18 「造られた魔物」
私の知る常識とか、当たり前な事とか
覆っていく、私はどうしたらいいのだろう
「こいつらについてだが、100年ほど前に魔族に新たに造られた魔物どものようだ。自称だがな。」
「マゾク ワレワレ ツクッタ シットベット ツクッタ。」
「はるか前、神話の時代に魔族どもは今いる大半の魔物を造り出し女神と争っていたらしいが、どうやら今も研究しているようだな。話せるようになった不具合なのか、マナの瘴気の濃いところ以外では長時間生きられないようだが……。」
心当たりがあった。人間と魔族、魔王の争いって。種族そのものの争いだったのかな。
「続けるぞ、この洞窟の奥。恐ろしく濃いマナの瘴気で溢れた空間だった。あのどデカい木々が地下の大量のマナを吸い上げ続けているのだろう。このダンジョンの研究者が聞いたら泣いて喜びそうだな。」
「それで……なにか奥にはあったのかい?」
「あぁ……、こいつらの集落の他に研究施設がな、ここの魔族はとうの昔に人間に捕まったのか殺されたのかわからんがいなかったよ。その後の痕跡に……私のお師匠さま……おじじさまが立ち寄った跡があった。具体的にはここにいるこいつらに関しての資料だな。だが、おじじさまはもう1000年近く前に亡くなっている。晩年は私と暮らしていた。こいつらの言う100年と研究資料……あまりに期間がかけ離れすぎている。何故だ……?」
似たような事……あったような。
「ここって、マナの瘴気が濃いんだよね。魔女の村……あの木の洞と似たような場所なんじゃないのかな。」
「いや、勇者も今朝出かけて……夜には帰ってきていただろう……。森全体がズレているのなら帰って来なかったりすぐに帰ってきたり違和感を感じるだろう。」
「待ってくれ、僕は1週間以上森を彷徨って帰ってきている。ズレ……あるんじゃないか……?」
「なんでそんな大事な事言わないんだ!」
「あ、いや……すまない……。」
理不尽を見た気がする。1週間以上の時間のズレ……となると魔女の村とは比較にならない程外では時間が過ぎてるんじゃないだろうか……私は…………とんでもない旅に同行した気がする。
「ダンジョンで時間のズレが発生するなど聞いたことがないが……。森の上層部は私の洞と変わらない程度なのかもしれんな。となると……更に下のこいつらの集落……更にズレているわけか……。100年ではなく2000、3000年前になるか……。」
「僧侶の体調が戻り次第上層に上がった方がいいのだろうか?」
「そうだな、私ももう少しここの調査をしたかったが。これ以上滞在して貴様らの見知った顔が全て居なくなって魔王を倒したところで、価値もなかろう。」
私の回復を待って……確かにまだ動けなかった。もどかしい。
森林地下の時差
地下の最奥部と地上ダンジョン外の時差は30倍ほどもある。森林全体は1.1-1.5倍ほどダンジョン外との時差がある。洞窟はマナの瘴気が漏れ出ており2-20倍ほど、奥へ行けば行くほどズレが大きくなる。




