僧侶の遺した日記 16 「違和感のある魔物」
もふもふ可愛い……大きいネズミのような……
以前あった魔物はもう少し人間に近かったのにな
「ニンゲン アウノ ヒャクネン ト チョット。」
「100年……?この森に話す魔物がいるなど聞いたことは無いが……この奥がお前たちの住処なのか?」
「ソウ デモ ニンゲン キケン マナ コイ。」
「あー私なら大丈夫だ。小娘、勇者を頼む。少し奥に行ってくる。」
「かわ……かわいい……。」
「聞いてるのか?」
「あ!はい、分かりました。大丈夫。ご飯の支度はしておくね。」
魔女はそう言うとなんかモフっとした可愛い生き物2匹と奥に行ってしまった。
さて、夕飯の支度をしよう。
そう思い、洞窟入口側に歩を進める。
入口側の空間が大きく歪んでるように見える。これは……コアモンスターのマナの乱れ?!こんなに歪んでいるのは傭兵時代にも見たことがない。
ッッッドッ!!
入口近くの樹に何かぶつかる。人影に見えた。まさか……。
「ガハッ!ゴホッ、くそ……こんな強力な魔物が潜んでいるなんて……。」
「やっぱり!大丈夫?!すごい音鳴ったけど。」
「僧侶か……すまない、ここから離れるように戦おうとしたんだが、こっちに吹き飛ばされてしまった。魔女は?僕だけじゃとても太刀打ちできそうにない。」
「魔女は……その、洞窟の奥に行ってしまってて。今居ないの。」
「タイミングが悪かったか……。」
樹から勇者が降りてくる。すぐに回復に取り掛かる、傷が深い……すぐに回復は難しそうだ。動くのに支障がないようにしないと……。
「なんとか倒さないと……。せめて引いてくれたらいいのだが……。」
「見たことないモンスター……一体どこから……?サソリのように見えるけど……森林とはいえこの寒い場所に……?」
通常のサソリ型のモンスターより一回り大きい程度に見えるが……注視しなくても空間が揺らいでいる。どれほどマナを蓄えたらあんなにも揺らぐのだろう。
じっと動かない……、いや、この大きさのモンスターに勇者は遠方から飛ばされた……?
「ねぇ、さっき吹っ飛ばされて来たけど……このモンスターになの?」
「僧侶!話したらダメだ!」
「え?あっ!」
一瞬、一瞬目を離しただけだった。目の前にサソリ……?!咄嗟に杖で受け止める。恐ろしく重い、これは金属……鉄かなにか?
「すごく重い…………。なんてやつ……。」
「くっ離れろ!」
ギィン!キィン!
と勇者の剣はサソリの甲殻を通せず金属音が響く。硬い甲殻を破壊するのは難しい……となると……。
私に両手のハサミを向けていたのが片方を勇者への対応に回す……隙が出来た……!
「ここなら……!」
ベキッ!!
サソリの眼、側眼を杖で思い切り叩く。目を潰されサソリは身を引く……と思っていた。杖……眼から取れない……?!
ドッ!
ハサミ側面の打撃をモロに受け私は吹き飛ばされ……腹に……サソリの尻尾の先が……。
「ぁ……ぐぁ……。」
この後の記憶はない。
サソリの毒
神経毒である。麻痺、呼吸困難、感覚異常、様々な症状を引き起こす。強い毒性を持つ毒なので死亡率も高い。




