僧侶の遺した日記 14 「氷針樹の大森林」
魔女の村を出て3ヶ月。一度襲撃されて以降大天使が現れる事はなかった。
大きな支障なく大森林までたどり着いた。
『氷針樹の大森林』
階層1(地下があるという噂があるがギルドへの報告無し)
踏破率5%
突破率1%
この大陸どころか世界でも稀有な、地形自体がダンジョンと呼ばれている一帯である。
長大広大なこの氷針樹と呼ばれる樹木は多くのマナを含んだ場所にしか根付かず、吸い尽くすと枯れ果ててしまう。
マナが無尽蔵に吹き出す広大な噴出口をこの氷針樹の大森林が吸い上げ続けていると言う説もあるが定かではない。
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「これが……氷針樹の大森林…………なんて大きな木なんだ。」
「この森は、他のダンジョンに良くあるマナの瘴気の吹き溜まり等もない。だが、全体的にモンスターのレベルが高く、奇襲や夜襲に備える必要もある。私一人なら空を飛んでの突破も可能だが、流石に2人を連れて飛ぶには空の魔物の脅威が過ぎる。」
「ここで暫く滞在……?食料はどうするの?」
「地上の森林というのもあり、ある程度逃げることに長けた動物たちもいるし、このでかい木の隙間を縫うように生えているこれらの木々の果実は……マナを含んではいない。」
そう言うと魔女は近くを走っていた雪兎の足を凍らせ、目の前に生えていた木の実を食べて見せた。
「ダンジョン内でしばらく過ごすぞ、特に大きなメリットは、恐らく天使の襲撃がない、という事だ。巨大な魔物の巣にも奴らは現れる事は無かったからな。結界以上に、マナを多量に含む場所には現れないらしい。」
「なるほど……だが……この森の踏破率が低いのは…………。」
「流石に知っているか、まぁ私も文献知識だが。こっちの氷針樹の実が多量のマナを含み、魔物がそれを食す。体内に溜まったマナが一定値を越えたらコアモンスターとなる。この大陸でも一番コアモンスターの多いダンジョンだろうなここが。他のダンジョンでは絶対に見ないような魔物が強大になっていたりと、厄介この上ないダンジョンだ。」
「ここで様々なコアモンスターと戦い、対応力や判断力も磨く……と?」
魔女はにっこり笑っている。
私は大森林から生きて出られるのだろうか……。
熟練パーティや討伐隊がやっとの思いで倒すようなコアモンスターを三人で……?いや、勇者一人で……?
「ここのコアモンスターは一極集中のとんでもないバケモンはいない。修行先として適切だろう。あの大天使を倒せるまで何年でも滞在するぞ。」
「始まったばかりの旅がまた停滞するなんて……。」
「小娘はまた王都で時間潰してても構わんのだぞ?」
「めちゃくちゃしんみり出ていってすぐ戻ったら合わす顔がないでしょ!」
今更戻るつもりもなかった。私は私で鍛錬を積まないと……これから先の戦いで足手まといにはなりたくない。
街道
王都から大森林、魔王門までは1本の大きな街道が整備されている。ダンジョン内は街道沿いでもかなりの危険を伴う。




