僧侶の遺した日記 13 「不合格」
廃墟の村を出、最北の勇者の村には寄る事なく更に北を目指す。
何度か天使の襲撃もあったがよく見るタイプばかりだった。
「ふむ……もういつ襲撃して来てもおかしくないのだがな。大天使。」
「大天使?」
「天使や結界、マナの調査に遠出した時に何度も遭遇したんだよ。話す天使、自分たちを大天使と自称していたよ。」
女神の聖典の天使の階級と一致している……天使と大天使……魔王領に行くまでに更に上位の天使にも会うのだろうか……?
「本来は天使ですら顕現せぬのに、そんなにぽんぽん大天使が降臨するはずないではないですか。」
「噂をすれば出るあたり、警戒してたのか怖がっていたのか……?」
天使と比べて大きな羽根に、鎧と兜……いつも以上に戦闘に特化した天使のように見える……不安がよぎる。。。
魔女が一歩下がり、私にも下がるよう促している。
「魔女が狙いだろうが……僕が相手だ!」
「……お前が魔女の周りをちょろちょろとしている男か。使者を何体か倒したようですが、大天使との格の違いを見せて差し上げましょう。」
天使はそういうと何も無いところから巨大な突撃槍を取り出し、くるりと回転しながら上昇する。舞散った羽根が全て真っ白な炎に変わり勇者を襲う、少し遅れて天使も勇者に向かって突撃する。
ボーン!!ドーーン!真っ白い火柱がいくつも上がる。
巨大な突撃槍を片手剣を操るように軽々と使いこなしながら羽根から魔法を放ってくる。勇者は防戦一方だった。
キィン!という金属の弾かれる音と共に勇者の武器は弾き飛ばされる。
「くっ……。」
「あまりに未熟……。お前を殺し、魔女も女もすぐにお前の元へ送ってやる。」
ッドーン!!と魔女の雷が天使を襲うがかわされる。
「ちっ。流石に警戒しているか。」
「私を貴女が今まで倒した大天使と同じと思わない事です。ラジエル様旗下の大天使ルミニルですよ。この名を胸に刻んで……死になさい。」
ザン!
「う……っつ!」
僧侶が勇者をギリギリの所で助ける。が、肩からかなりの出血をしていた。
ルミニルに出来た一瞬の隙をつくように勇者が巨大な岩石を上から落とす。
「くそ……!」
「惜しかったですね、最初から3人で来ていればもっといい勝負が出来たでしょうに。これで終わりです。」
ザッ!!!
終わった……強く目を閉じる……。…………?そっと目を開けると、異様に巨大な雷状の剣がルミエルの前に屹立している。咄嗟に避けようとしたようだが羽根の一部を掠める。
「始まったばかりなんだ、勝手に終わりにしないでもらえるかい?」
「な……?!まだそのような技を隠し持っていたのか……!」
「伊達に何百年と引きこもって魔法の研鑽は積んでないよ。その羽根ならもうかわせまい。」
「ぐっ……くそ……。」
ッドーン!!赤みを帯びた雷が天使を光の粒子へと還す。
「すまない……僕が不甲斐ないばかりに僧侶には怪我を、魔女には手助けを……。」
「私は全然……これくらいならすぐに動けるよ。」
「ふむ……少し上澄みの者が来たようだが誤差程度だな。あれに手も足も出ないようなら不合格だ。」
気を落とし項垂れる勇者。
「そう気を落とすな。なにももう私の村に戻ろうとは思わん。このまま進むぞ。人里から離れ、暫くダンジョン内生活と行こうじゃないか。」
魔女の持ち物
「そういえば、魔法使いと言えば杖なのに、杖はどこに?」
「魔法使いの杖は特殊な物でな、心というか、魂に紐づいている、私はあまり使わないので呼び出しておらん。ある程度自由に取り出し可能だ。まぁあとは……服位なら取り出せるかな。」
「便利なものだなぁ……。」




