僧侶の遺した日記 11 「1年の成果」
1年、研鑽を積んだ、司祭への推薦も受けた。
1度魔女と勇者の様子を見に行く事にした。
「あ、れ、勇者……1年でそんなに大きく……?」
私の方が背は少し高かった。それが今は、私より大きくなっていた。
「ん?あー……この木の洞周辺は……少し時間の流れがズレているからな。そのせいかもしれん。2倍も3倍も、というわけではないがな。せいぜい2.3割だ。」
「そ、そんな場所だったのねここ……聖域じゃない。」
「僧侶……なんだかかなり久しぶりな気がする。」
見違えるほど、とは言えないが、傭兵団の手練に居てもおかしくない……それほどの実力を感じた。
「ミツケタ。」
「ん?おぉ、ちょうど良いのが来たぞ。あれなら一人でもう大丈夫そうだな。」
天使が襲って来たようだった。魔女は座ったまま勇者と天使を眺めている。あれを……勇者が一人で……?
天使の翼が前方でピタリと動きを止める。瞬間、魔女に向けていくつも光弾が発射された。
魔女は座ったままそれを眺めている……当たる?!
ドドドドド!
鈍い音が走る、勇者が全て剣でいなした音だった。すぐに呪文を唱え、周囲の小さな石が浮かび上がる。石を不規則な軌道で天使へ向けて放ちながら自身も天使へと距離を一気に詰めていく。
ザ、ザン!
石のつぶてをさばき切れずに天使は勇者の接近を許し、二閃、翼と胴を斬られ。天使は発光し、すぐに光の玉になり……地面の一部ごと光の粒子になり消えた。。。
「まぁまぁだな。そろそろ旅に出ても良かろう。道すがらあのまともに喋る天使にも会うだろうしな。その時にある程度戦えるのなら魔王にもギリギリ手が届くだろう。」
「はい……やっとスタートラインか……。」
「既に一人で下位とはいえ天使倒してるし、傭兵団のベテランクラスだけどね……。」
今までその辺の魔物にも勝てなかったのに……そう考えると急激な成長に見える。
「爺ちゃん……バーっとやってドーン!とすれば勝てる。みたいな説明だったからなぁ……魔女はほんと説明が上手いよ……。」
勇者が弱い理由はすぐに分かった。
「私も報告、司祭に勧誘されているの、もう少しだけ出立は待てないかな?」
「ふむ、どうせ魔王など城から出ぬ臆病者だ。ここに居れば天使はともかく魔族の襲撃もなかろう。期限も決まったな。小娘は司祭から司教だ、授かる魔法も大きく変わろう。勇者は……あの喋るような天使に一人で勝つにはまだまだ程遠い。ここから更にみっちりと鍛えてやらんとな……ククッ。」
「はい!よろしくお願いします!」
「私は近くに寄る事があればまた顔を出すね。1年以内には私も修業と準備、終わると思う。」
王都で認められて行く自分が嬉しかった。
魔女の下ですごい成長スピードで強くなる勇者が頼もしかった。
聖森前での戦闘……凄まじかった。ほとんど1人でなんでも出来てしまう魔女と、私と、勇者……3人なら魔王討伐も夢じゃない……そう思えた。
……騎士さまもいれば……いや、これは……やめておこう……。
時間のズレ
魔女の木の洞、女神の聖森、聖都の教会の奥部、ダンジョンの最奥部近く等、聖域と呼ばれる場所やマナの噴出口近くなどは時間の流れが違う場合がある。




