僧侶の遺した日記 7 「最初の目的地」
魔女……王都に入る前に目を包帯で覆ってた。
『問題ない、気配でわかる』って……何でそんなこと?
「おぉ、魔女殿を連れて来られるとは、さすが私の見込んだ勇者さまです。」
騎士はとても嬉しそうだった。少年のような瞳で彼を見つめている。
「ふむ……ここなら、大丈夫か。」
魔女が目を覆っていた包帯を取り払い、目を開ける。
「ひっ。。。」
メイドの1人が悲鳴をあげ、そそくさと部屋を跡にする。それを見やる魔女の瞳は、とても悲しそうに……私にはそう、見えた。そうか……何してるのかと思ったら……街中でそのまま歩くと怖がられるから……。
「まさしく……深翠の魔女殿ですな、その瞳の色、間違いない。」
「そんなに……この瞳は珍しいのか……?」
「珍しいどころではありません。彼女以外には少なくともこの1000年、おりませぬ。」
「おかげで子供の頃は散々な目にあうわ、あの木の洞に住んでからも散々人間の討伐隊やら魔族やら、果てには天使にまで襲われる始末だ。」
騎士の目が曇る、先刻あった天使との戦闘を説明した。
「なんと……そのような事が?!天使など……降臨すれば人々に幸福と安寧を齎すと言われていますのに……何故こうも魔女さまの元に?」
「理由は分からぬ。思い当たる事はあるのだが……確証が持てんことは話せん。」
「勇者殿はどう考えますか?このまま魔女と共に行動すると、無用な戦闘にも巻き込まれるかもしれませぬ。」
「僕は………………。うん、おとぎ話に聞いた魔女と、一緒に旅がしたい。出来ることなら魔女、僧侶、騎士と共に……成し遂げたい。」
カッコイイ事言ってるけど……今の彼じゃ……。
「今のお前にそんな事出来るはずもなかろう?」
「……まさに……。」
「うっ…………。だが、王からの任だ……今更反故にする訳にも。」
「『今の』と言うただろう。まだ若いんだ、準備と対策はいくらでも出来よう。」
「左様です勇者殿、私もその伸び代に賭けたのです。」
騎士が……魔女が……彼の何に惹かれてこう言っているのだろう……。私には分からない何かがあるのだろうか?
「さて、まずは身だしなみからですぞ!」
「え?あ、えぇ?!」
「ほう……これは……。」
「え?!ぁ、きゃあああ!」
数人の執事に全裸に剥かれどこかへ連れて行かれる勇者。なんであそこで全裸に……。
そこからは髪を切り整え、体も洗われ、服や装備の大半も新調していた。なんというか、面影はあるが、別人のようになっていた。
「うむうむ、勇者殿、見違えるほど良くなりましたぞ!私財を投げ打った甲斐があるものです。」
「どうして僕に……ここまで……。」
「子供の頃からの夢でしたからな……勇者殿と、数多駆ける大冒険、絵本の英雄譚……いやはやお恥ずかしい。」
「ククッ、なんだ、坊やも可愛い所あるじゃないか。」
「魔女殿には敵いませんな。この老体が坊やとは……。」
「楽しそうに話してる所悪いのだけど、最初の目的地……どうするの?」
全員押し黙る。なんでぇ?!
「…………この王都から出てすぐ横にある森は、『女神の聖森』と呼ばれており、そこで勇者は神託を授かるそうです。まずはその聖森の神殿を目指しましょうぞ。」
「聞いたことがあったが……まさか僕がそんな所に行くことになるなんて……。」
聖森……あの中は危険な魔物や魔族も加護で入れない……とりあえずは大丈夫……かな?
瞳の色
大半の人が魔女を恐れるのはその異名やわらべ歌にある。翠の瞳を大半の人々は恐れ怖がる。勇者や騎士、僧侶、滅びた村の近隣、気まぐれに病気から、魔族から、魔物から助けたいくつかの村の人々。恐れない者を上げる方が早かった。




