僧侶の遺した日記 6 「天使」
白い翼、雪より白い肌、微かに金に煌めく白髪。
美しい……それ以外に言葉が出なかった。
「こいつらは……感知不能、予備動作なし、魔力感知にも引っかからない魔法を使う。気をつけるのだな。」
天使の吐く息が白い炎に変わり魔女に襲いかかる。
「お前ら……襲ってくるのは構わんが、何百年もいつも同じ行動しかせんな……本当にそれで私が倒せると思っているのか……?」
ふわりと踊るように純白の炎をかわすと天使を睨みつけていた。天使も、魔女も、なんの詠唱もしていない……。
天使の周りに木の葉が纏わりつき竜巻に変わり、天使を包み込む。
竜巻がおさまり、木の葉がヒラヒラと力なく落ちる。包まれていた天使は跡形もなかった。
「あまり悠長に遊んでいると奴ら飛びかかってきて自爆するのでな、何度か吹き飛ばされたのでそっと消滅させるのが1番だ。あの炎……あまり見るなよ、目がおかしくなる。平べったいのだ。」
そう話すと魔女は大量の水をかけ消化していた。水で消化は可能なのか……。
「この炎に焼かれた者は……魂がそこに縛られる……。魂を解放する術はあるが……蘇生はできん。基本的には私が対処する、私が狙いだからな。だが攻撃自体は私以外にも放ってはくる。こいつら、奇襲すれば良いのに律儀な事に必ず『ミツケタ』や『ホロボス』など話しかけて来てからしか攻撃してこんからな。」
「わ、分かった。」
「天使なんて……それに襲ってくるって……どうして……。」
魔女は私を一瞥したが、疑問には答えなかった。
「さて、少なくとも数日はこれで大丈夫なはずだ。支度をしたらすぐに行こう。目的地は王都……で良いのだな?」
そういうと魔女はまた子供の姿になりスタスタと歩き始めた。
木の洞に着くと魔女は「すぐ終わる。」と中へと入って行った。……なんだろうここ、優しい木漏れ日が射し込み、何がそうさせているのかはわからないが、なんて落ち着く場所なのだろう。
「よいしょ、と、さて、待たせたな。行こうか。」
大荷物なのかと思ったが、魔女はローブを上に羽織り、手ぶらで出てきた。奥に見える本や、数々見える道具はいいのだろうか?
「それだけでいいのかい?」
「うん?まぁ、本当に必要ならまた取りに来るよ。」
「取りに……って。またこんな辺鄙な所いちいち帰ってられないわよ?!」
「ん……?あー……あぁ、そうか、そうだな。見た方が早かろう。荷物はもう全部持っているな?2人とも私の肩を持て。」
何をしたいのか分からなかったが肩に触れる。魔女はまた女性の姿になり、何かに集中しているようだった。
次の瞬間……ふわりとお日様の……陽だまり……?の香りがし、周囲が翠の煌めきに包まれる。……転移魔法?でもこれは……優しい煌めきに溢れてる……知ってる転移魔法とは違う。
「……と、私は転移魔法も自在、というわけではないが使えるのだよ。あまり大荷物は好かないのでな。王都には着いた。さて……最後の仲間に会いに行こうか。」
「……規格外……とはこの事か……。」
勇者は驚きが隠せないようだった……もちろん……私も……。
天使の魔法
天使の魔法は光魔法である。天使以外も使用は可能だが天使のように詠唱破棄や感知不能等は光魔法ではなくあくまで天使の特殊技能である。




