僧侶の遺した日記 2 「悪夢」
村の外で何度も会った。
とても楽しい時間だった。
「だ、大丈夫?!無理しないで……。」
「うっ……く、すまない。」
「まだまだ1人立ちには厳しいかのう……。」
ガァン!
大きな熊のモンスターが倒れる。
巨大なハンマーの頭部部分がスっと消え棒状の杖のような状態になる。魔力で形作られているのだろうか……?
「うーん、じいちゃんには勝てないなぁ。」
「ばっはっは!娘からも心配されとるからなぁ……呆け始めとるーって。1人立ちはもう少し待つかのう。」
体格のいいお爺さんと華奢な体格のその孫……初めて会った時から数年経った。そして、私の方が背丈を追い越してしまった。
彼がお爺さん程の体格になるとは思えない……自分なりの戦い方を見つけてくれたら良いのだけれど……。
「僕は……じいちゃんみたいな力が無くても、村のみんなと……君の事が守れたらそれで、いい。」
「な、な……?!」
「まっはっは!村のついでに女も守れるなら上等じゃ。」
すぐ傷だらけになるこの人を、私も守られるだけじゃない。守りたい。そう思った。
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父の傭兵団……魔物や、時に魔族から村を守るために危険な村から危険な村へと渡り歩く……。
私もいつしか年頃になり、戦士等の戦闘職を勧められたが、私は僧侶……神官職、後衛の回復職に就いた。
私が小さい頃よりも団は大きくなっていた。
危険だが儲かる依頼もちらほらとされるようになり、結果的に私が僧侶になって良かったかもしれないな……父はそう言っていた。
彼の住む村の近くは危険な魔物や、魔物の巣と言われるような小さなダンジョンが形成される事も多かった。
村近くの依頼は、私たちの団と、その村の若者や戦闘員等が参加する事も多かった。
今回も、彼の村近くの魔物の巣の掃討の依頼だった。
魔族の出入りも確認されているかなり危険な場所……彼の村からも数人の若者、彼のお爺さんが参加していた……。
攻略は……順調……順調だった。だが…………。
「どうして……人間の村を襲った事はないのに……。」「助けて…………。」「ごめんなさいごめんなさい、何もしていません。ごめんなさい。」「熱い、熱い!」
耳に残る……人の言葉を話す……魔物…………。意味はない支離滅裂な事を言うだけと聞いていた……だがこれは…………本当にそうなのか?
「あ、あああ!!何の罪もない者たちになんて事を!往ね!!」
怒り狂った魔族の、洞窟内でのほとんど無差別に近い炎だった……同行していた父は深手を負い、彼の村の若者が犠牲に……一度撤退を余儀なくされた……。
「ぐ……すまない。私とした事が……村の若者まで犠牲に。」
「なぁに、覚悟の上での同行じゃ……。アレを倒すには少々戦力も準備も不足しておった。別の事情で……若い者の戦意も落ちとったようじゃしな。」
「お父さん……お爺さま……あれは、あの魔物たちは本当は……。」
2人の顔を見て察した……あぁ、皆、大人たちは知っている。『支離滅裂な事を言っている。』そう、彼らの発言に意味などない……意味など……。
その夜、私は夢を見た。泣いて許しを乞う子供たちを……笑いながら焼いている夢だった。
汗びっしょりで目覚め……その日は眠れなかった。
魔族ザリエル
彼女は問いかける。「正義とは何か」
彼女は問いかける。「悪とは何か」
彼女は問いかける。「正しいのはお前たちか」




