僧侶の遺した日記 1 「始まり」
最初の出会いは偶然だった。
出会った時の印象からそうだったよ、私の勇者さま。
きょう はじめて にっき を かきます。
とても こわいこと が あったからです。
おとうさん が きょう から にっき を かいて こわいこと が あったこと おともだち が できたこと かいて おきなさい
と いいました。なので かこう と おもいます。
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「はぁ……!はぁ……!!うっ」
どしゃ
石に躓く。途端に狼のモンスターの群れに囲まれてしまった。
「あ……ぅ……」
私は……この時生きる事を諦めていた。
「うわあああああああ!」
私と背格好の変わらない……男の子だった。小さなナイフみたいなショートソード。震える切っ先に……私は妙な安心感を覚えた。
「くぉらぁ!勝手に突っ走りおってぇ!!」
ドカーン!
後ろから大きなハンマーで地面を叩きつける大柄な……お爺さん……?
狼のモンスターの群れは大きな音と衝撃に驚き散り散りに逃げていった。
「あ……た、すかった……?」
「ううあああ!おじいちゃんありがとおおお!」
「まったく……泣くんじゃない!せっかくかっこよー助けたんじゃぞ?……ところでお嬢ちゃん。こんな辺鄙な所に何をしに来たんじゃ?」
小さな男の子は余程怖かったのかずっと泣きじゃくっている。
「あ……ぇ、と……ようへいだんで、ちかくにいて、おみず、くんでたら……。。。」
「ふむ?近くに親もおるのかの??開けた場所まで行こうか」
林を抜けるとすぐに傭兵の一団のキャンプ地と思しき煙が見えた。
「あ!おとうさーん!」
「おぉ、帰りが遅くて心配したぞ?……そちらの方は?」
「すぐに見つかって良かったのお嬢ちゃん。ワシらはすぐ近くの村の住人じゃよ。食料難での、常に外の動物の狩りと果実の採取もしとる」
「近くの村……?この辺にそんな記録は……」
お父さんとお爺さんはなにか難しい話をしている。
「あ、きみ……けが……」
「おいかけられて……すりむいたときのかな……」
ちゃぷ
男の子が私の汲んできた水を布で濡らして怪我を拭いてくれた。
「あ……ありがとう……」
「むらのひとたち、みんないそがしいから、ぼくも、おとうとといもうとたちのおせわしているんだ……」
「やさしいんだね」
「おーい!ワシらは帰るぞー!」
お爺さんと共にその男の子も帰っていった。
また会えるかな。会えるといいな。
傭兵団
村だけでは魔物の脅威から身を守るのは難しかった。
そういった時に手助けをしていたのが傭兵団である。
金銭的に厳しい村に対しても滞在と食料の供与である程度の防衛を保証していた。その地で得た情報を王都や街に売って活動費を捻出していた。




