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勇者は魔王を倒しました  作者: 匿名記号
探求の章

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52/102

見捨てられた村の戦士 7

なんて戦いやすいパーティなんだ。


1人で戦うより、誰かに気を配るより、よほど戦いやすい。

 魔王城前、俺が切り込み、勇者がすぐにフォローしてくれる。僧侶が回復や強化魔法で補助し、賢者の魔法が全て払う。

 なんて……なんて戦いやすいんだ!仲間を庇いながら戦わなくていい!目の前の大物へ切り込めばいい!!


「みんな凄いんだな!俺、こんなに何も考えずに戦っていていいのか!!って位だ!」

「いやいや……その物凄くでかい剣を軽々振り回しながら大半を薙ぎ払ってくれるんだから……僕はほとんどやる事がないよ……」

「わ、私も……強化魔法掛ける頃には半分以上終わってるから……掛けた方がいいのか…………迷っちゃう」

「魔力の節約になります。助かります」


 俺たちは難なく魔王城の、最初の門の前まで来れた。

 賢者が淡々と説明を始める。


「さて、過去の文献と変わらないのであれば……ですが。この門を含め、魔王城の大門、と呼ばれるものは4つ確認されています。ここを抜け、迷宮化した1階の奥、偽座の間にある偽の玉座の裏に2つ目が。そこから2階、次元廻廊を抜けた先に3つ目が。更に進み、空中庭園を抜け……魔神の間の奥にあるのが、最後の大門となります」


 ここからまだダンジョンが続くのか……。


「魔王城内、かなりのマナの瘴気ですね。保護魔法を掛けます」


 賢者と僧侶が保護魔法を唱える、青い光が身を包む。

 完璧な保護魔法だ……村のものとは全然違う。


 魔王城迷宮内部

 いざ魔王城に入ると、驚くほど静かだった。


「外の喧騒とは裏腹に……かなり……静かだな」

「なにかの……罠か、もしくはもうそれ程までに疲弊しているのか……」


 かなり入り組んだ構造ではあったが、襲ってくる魔物もなく。俺たちは数刻ほどで偽座の間まで到着した。

 偽の玉座に……誰か座っている。


「ぬぅぅぅ……久方ぶりの客人か……魔王さまの元へは行かせぬ……この……魔人ダンタリオンがいる限り……」


 動きも緩慢……全身木で出来ているのだろうか?着込んだ甲冑から見える手足は木の皮のようだった。


ズッ!


 一瞬の油断だった、甲冑の腹から木の槍が飛び出して来た……!ギリギリの所でかわすが、脇腹を抉られた。


「ぐっ……っ!くっ、なんだそれ!反則だろ!!」


 返事はない、こちらも見ていない……。なんだコイツ……?


バンバンバン!


 と賢者の風切りの呪文がダンタリオンを襲う。


「とんでもない呪文耐性ですね……わたくしの魔法では文字通り歯がたちそうにありません。補助に徹します」


 そう言うと俺と勇者に強化魔法をかける。直後、蜜柑色の光に包まれる。痛みは引いたが……傷口の回復は止血止まりだった。


「ごめ、なさい、回復が……遅れて……。なるべく援助したいんだけど。回復に、専念、ちょっと難しいかも!」


 そう聞いて振り向くと……地面から複数の木の根のような物が僧侶を襲っていた。僧侶も足からボタボタと出血している。床を貫く音、木の軋むような音、何も無かった……はず……。

 賢者が風や地の魔法でなんとかしようとしているが、どうやら根の呪文耐性も高いようでダメージを与えられていないようだ。


「私は大丈夫だから……!本体をお願い……!!」


 無理に僧侶を助けるよりも、確かに本体を……叩く!

 俺は振り向き、魔人へと一気に詰め寄る、根の攻撃をギリギリの所でかわし。


 横薙ぎに、一閃、剣を振る。


バキ!バキバキバキィ!!


 と地面から出た複数の木の根に防がれる。

 ニヤつく魔人を尻目にして俺も笑う。

 勇者が魔人の後ろから斜め一閃……深く入った……!


「ぬううううぅ!小癪な……!!」


 勇者に向かって体から木の槍を何本も飛ばす。


「……なっ!くっ……がっ、は……!!」

「勇者……!!これで……終わり、だ!」


 木の根に食い込んだ剣を引き抜き、勇者に気を取られていた魔人に縦にグルンと一回転、遠心力をつけた渾身の一撃を見舞う。


バキィ!!


 薪割りの時の様な音だな……。魔人を真っ二つにすると、根の動きも止まったようだった。


「勇者……穴だらけだな……。動けそうかい?」

「はは……面目ない」


 俺が笑うと、勇者も苦笑していた。

 僧侶も足の怪我以外は少しの切り傷で済んだようだ、俺と賢者はほぼ無傷……消耗は少なく済んだ方だろうか……。


後……ふたつ。



勇者は魔王を倒しました。


順調で不穏な魔王城攻略。

魔王城

ダンジョン化した地上部分。生活スペースとなる地下部分。で構成されている。地下部分への移動は専用の転送魔法で行くことが出来る。しかし、戦闘中は非戦闘員がそちらへ避難しているため、魔王や魔族、魔神はそちらへ逃げるような事は無い。

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