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勇者は魔王を倒しました  作者: 匿名記号
深翠の章

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44/102

御伽噺の終わり

もう終わりだと思ってた。


意外となんとかなるもんだな。

 ふわりとした陽だまりの匂いがした。私の周りから瘴気が遠ざけられ、傷の痛みが消えた。


「止血とこんな事くらいしか出来ぬがもう少し耐えてくれよ、命の恩人さん。あっちは……見知った顔だが……別人か……?」


 賢者さまを魔法で持ち上げ、私の前に降ろす。


「お前……私よりは治癒の心得があるだろう、虫の息だが息はある。ククッ、死地で命を拾うとは、悪運だけは強いようだな」


 ぺたぺたと足音をならし、7つ首の魔物に近づく魔女さま。


「ん……?全裸というのはいただけんな……。おい!イグド!いるんだろ!!さっさと来い!こいつら片付けて帰るぞ!」

「…………え?あ!えぇ?!!」


 背中に背負った杖が動き出し魔女さまの手元へ行く。あの杖ってそんな風に使え……え?生きてる???


「なんだお前、浮気したうえにハシゴしてたのか?最低だな、その分働いてくれよ」


 魔女さまはどこからか魔法衣を取り出し体に羽織る。

 魔物たちは……警戒しているのだろうか。全く動きがない。


「うーん?なんだ?このちっこい奴らは?魔物ではないな」

「いいい、ィィ!!」

「こ、こここ、コ。」

「うん?あー……な、る、ほ、ど、ねぇ……。おじじ様……もう少し分かりやすく書いといて欲しいなぁ。人が悪い」


ゾッコッコ


 あ……魔女さま。あぶな……い?


「つまりあそこのでかいのは異質の中の異質……という訳か……」

「いい……い」

「こ?」

「ああもううるさいよお前ら」


パン


 ……一瞬、膨らんだかと思ったら……2匹の深淵の魔物が、破裂して消える。私は何を……見ているんだろう。


「おい、女」

「……え?あ、はい!」

「ここの目的は『私の救出』だけか?」

「あ、はい、、、そうです」

「アレには私も勝てん、1度負けているし、私も万全には程遠い。撤退するぞ。『楔』に用がないのならやつはコレ以上は襲ってこん」


 こちらに走ってきたかと思うと、私を片手でひょいっと担ぎ、かつ……?賢者さまは浮遊呪文で引っ張っているようだ。

 そのまま一瞬クルッと居直り。


パンパン、パン


 と7つ首の頭を2つ消し飛ばし、残り1体いた深淵の魔物もついでのように消していた。……倒せるのでは…………。




 12層目から入口までの間、何体かの深淵の魔物とコアモンスターを倒しながら走っていた。

 一体だけ通路を封鎖して逃げていた深淵の魔物がいた……違いはなんだろう?

 でもこれで……やっと……。


 ホロホロと右手の魔導具が砂へと還る。

 あ。。。……勇者さま、行ってきます……。終わらせに、行ってきます…………。




「深淵喰らいの魔女さまの帰還だ!!さぁ……!第二幕といこうじゃないか!」




魔王が勇者に倒されました。


深淵の水底から、深翠の魔女は還りました。

煉獄館『真の最奥部』

孵化した、巨大な、卵が、8つ。

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