帰還
暖かな陽だまりが好きだ。
もう一度だけ、赦されるだろうか……
「その魔導具……発動にどれくらいかかるのだ」
「……アレが目的の魔物だと分かってからすぐ準備をしてます……まだ10分はかかります……」
「命を賭したとて稼げぬ時間だぞ。この状況……勝機がそこにしかない、賭さざるを得ぬ……か」
体が……重い……、マナの結界に割く、意識と魔力が惜しい…………。だが、ここまで来た、ここまでは……これた、今もう目の前に居る。必ず……救い出す!
「しョろ、シシシろろゅ」
ポッ、フィン……
軽い音と涼やかな響きが辺りに響く。天井に歪な穴が出来ていた。
「なるべく気を引くが、それも長続きはせんぞ。いざとならずとも我は捨ておけ、賭けに乗ったのも私だ」
「1秒でも……ありがたいですよ……!っと。。。大丈夫です。みんなで……帰りましょう!!」
後ろの深淵の魔物も口々に何か叫んでいる。
「全ては無理だ。致命の攻撃だけ防ぐぞ。この相殺方法、酷く神経をすり減らす……」
「なるべく痛くしないでくださいね……。私、これでも嫁入り前の女ですよ……!」
コッコザッシュ……フォン……。
「グッ、、、これは思ったより……。少し散らすか……出来るか?ところで、貰い手はいるのか?」
「いっっっつ……!あぁ!もう!はぁ……はぁ……はい!絶賛、募集中です……よ!!」
ドーーーン!
と3匹の深淵の魔物の地面が爆発しバラバラと吹き飛ばされていく。
各々口々に何か叫んでいる。
…………フィ……ン。。。
全て相殺されたようだった。
「離れておればどう同調すればいいか、少しは分かるのでな……。なんとかここまで凌いだ……が……ここまでのようだ。。。」
ポン
賢者の左胸が貫かれ、穴が空いたように見えた。
あぁ……賢者さま…………こんなにも……遠いのか……。まだ5分以上あるはず……どうする……?どうする…………。
「しょ?ろロ、シュろら」
…………?襲って来ない、慢心してるのか油断なのか……。他の深淵の魔物も来ない。…………あぁ。。。そうか。
ヌ゛ッ
ドッ!
首と……腰を狙っている。こいつ、私の事も取り込むつもりだ。なら、もう、あと少し、時間が稼げる。全神経を研ぎ澄ます。……後……もう少しだけ。
…………何度回避出来ただろうか……意識が……もう……目の前が、霞む、首にいいの貰っちゃったかなこれ……。まだ…………届か……。
ヌ゛ッッ!
あぁ……あと……少しなのに………………。
ドカッ!
「クアア!!」
ワイバーンのブレスだった。さっきまで殺しあってたというのに……、現金なヤツめ……。ありがとう、ありがとうね………………ごめんなさい。。。
ポ、ポンポンポンポン
拘束されたワイバーンの居た場所は歪な穴だらけになる、そこに、ワイバーンの姿は無かった。
「ろろロロ?しろュるろロ?」
もう、歩くのも、立つ事すら……無謀だったのかな、私では届かないのだろうか……勇者さま……。
「……ぐすっ。もう泣かないって、誓って旅に出たのにな……、ダメだなぁ……私」
ポロポロと涙が出る。悔しい、悔しい悔しい……!
……右手が暖かい……暖かった。。。
あぁ…………間に合った…………。
右手首に巻き付けていた魔導具が赤く紅く煌めいている。
「これね、あなたを倒すためでも、殺すためでもないのに作ったんだって。たった1度だけ使えればいい、救えればいい…………って。1年かけて、私を稽古して、家族を探して、自分の命も……………………削り上げて……。あなたの……あなたの為だけに研ぎ澄まされた剣…………どうぞ……どうぞお受け取りください」
『アマノムラクモノツルギ』
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「コアの右、2つ目、だそうだ」
「そこに魔女さまが?」
「最後、飲み込まれるのを見たそうだ。姫が……そう言っていた」
「そこに……一太刀。。。」
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ドサッ
首が落ちる。
瞬間、轟々と首が深紅の炎に包まれ炭となり消えていく。
中に、女が1人
「なん……だこれ!…………えっ……と、本当に……どういう状況だ。。。」
深翠の魔女の帰還
陽だまりの続き、終わりの始まり
勇者の秘宝
一年、その秘宝を握りしめていた。ずっとずっと、片時も離さず……。一人、助けたい人がいたから。
終焉の魔女が受け取った。勇者の唯一の形見の品。赤い魔晶石が、二つ。




