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勇者は魔王を倒しました  作者: 匿名記号
深翠の章

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43/102

帰還

暖かな陽だまりが好きだ。


もう一度だけ、赦されるだろうか……

「その魔導具……発動にどれくらいかかるのだ」

「……アレが目的の魔物だと分かってからすぐ準備をしてます……まだ10分はかかります……」

「命を賭したとて稼げぬ時間だぞ。この状況……勝機がそこにしかない、賭さざるを得ぬ……か」


 体が……重い……、マナの結界に割く、意識と魔力が惜しい…………。だが、ここまで来た、ここまでは……これた、今もう目の前に居る。必ず……救い出す!




「しョろ、シシシろろゅ」


ポッ、フィン……


 軽い音と涼やかな響きが辺りに響く。天井に歪な穴が出来ていた。


「なるべく気を引くが、それも長続きはせんぞ。いざとならずとも我は捨ておけ、賭けに乗ったのも私だ」

「1秒でも……ありがたいですよ……!っと。。。大丈夫です。みんなで……帰りましょう!!」


 後ろの深淵の魔物も口々に何か叫んでいる。


「全ては無理だ。致命の攻撃だけ防ぐぞ。この相殺方法、酷く神経をすり減らす……」

「なるべく痛くしないでくださいね……。私、これでも嫁入り前の女ですよ……!」


コッコザッシュ……フォン……。


「グッ、、、これは思ったより……。少し散らすか……出来るか?ところで、貰い手はいるのか?」

「いっっっつ……!あぁ!もう!はぁ……はぁ……はい!絶賛、募集中です……よ!!」


ドーーーン!


 と3匹の深淵の魔物の地面が爆発しバラバラと吹き飛ばされていく。

 各々口々に何か叫んでいる。


…………フィ……ン。。。


 全て相殺されたようだった。


「離れておればどう同調すればいいか、少しは分かるのでな……。なんとかここまで凌いだ……が……ここまでのようだ。。。」


ポン


 賢者の左胸が貫かれ、穴が空いたように見えた。

 あぁ……賢者さま…………こんなにも……遠いのか……。まだ5分以上あるはず……どうする……?どうする…………。


「しょ?ろロ、シュろら」


 …………?襲って来ない、慢心してるのか油断なのか……。他の深淵の魔物も来ない。…………あぁ。。。そうか。


ヌ゛ッ

ドッ!


 首と……腰を狙っている。こいつ、私の事も取り込むつもりだ。なら、もう、あと少し、時間が稼げる。全神経を研ぎ澄ます。……後……もう少しだけ。




 …………何度回避出来ただろうか……意識が……もう……目の前が、霞む、首にいいの貰っちゃったかなこれ……。まだ…………届か……。


ヌ゛ッッ!


 あぁ……あと……少しなのに………………。




ドカッ!


「クアア!!」


 ワイバーンのブレスだった。さっきまで殺しあってたというのに……、現金なヤツめ……。ありがとう、ありがとうね………………ごめんなさい。。。


ポ、ポンポンポンポン


 拘束されたワイバーンの居た場所は歪な穴だらけになる、そこに、ワイバーンの姿は無かった。




「ろろロロ?しろュるろロ?」


 もう、歩くのも、立つ事すら……無謀だったのかな、私では届かないのだろうか……勇者さま……。


「……ぐすっ。もう泣かないって、誓って旅に出たのにな……、ダメだなぁ……私」




 ポロポロと涙が出る。悔しい、悔しい悔しい……!






 ……右手が暖かい……暖かった。。。



 あぁ…………間に合った…………。

 右手首に巻き付けていた魔導具が赤く紅く煌めいている。




「これね、あなたを倒すためでも、殺すためでもないのに作ったんだって。たった1度だけ使えればいい、救えればいい…………って。1年かけて、私を稽古して、家族を探して、自分の命も……………………削り上げて……。あなたの……あなたの為だけに研ぎ澄まされた剣…………どうぞ……どうぞお受け取りください」




『アマノムラクモノツルギ』




--------------------

「コアの右、2つ目、だそうだ」

「そこに魔女さまが?」

「最後、飲み込まれるのを見たそうだ。姫が……そう言っていた」

「そこに……一太刀。。。」

--------------------


ドサッ


 首が落ちる。


 瞬間、轟々と首が深紅の炎に包まれ炭となり消えていく。


 中に、女が1人


「なん……だこれ!…………えっ……と、本当に……どういう状況だ。。。」




深翠の魔女の帰還


陽だまりの続き、終わりの始まり

勇者の秘宝

一年、その秘宝を握りしめていた。ずっとずっと、片時も離さず……。一人、助けたい人がいたから。

終焉の魔女が受け取った。勇者の唯一の形見の品。赤い魔晶石が、二つ。

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