韋駄天 4
俺は勇者のパーティに入った。
僧侶ちゃんが治るまでこの場に留まるそうだ、勇者の稽古付けをして過ごす。
「はっ、もうバテたのか!勇者!!そんなんじゃこの先の雪原越えも出来ねぇ!魔王にも勝てねぇ!俺にも勝てねぇぞ!!俺が僧侶ちゃんと結婚する!」
「うっ……くっ……なんて重い太刀筋なんだ、受ける事も出来ないなんて……」
俺は僧侶ちゃんのために勇者のパーティ入りをした。勇者の願いでもあったが……パーティ入りを快諾した時の僧侶ちゃんのキョトン顔と、魔女の凄く嫌そうな顔が印象的だった。
「くっ……!はぁ、はぁ、はぁ」
「うーん、この辺にしておくか、勇者、お前体力作りから考え直した方がいいな、基礎から鍛え直しだ」
「はぁはぁ……はい!」
勇者……筋も悪くないし、魔力は俺より上、爆発力もある……魔族を1匹殺して勇者になったと聞いたが、それに見合う力程度はあるだろう……。だが、魔王には遠く及ばない。そう思う。東より弱いとされる北、それでも厳しい戦いになりそうだな……。
………………いや、あの魔女が居ればどうにでもなるか。
それにしても、うちんとこの王ながら、討伐隊の編成もせず、ダラダラとたまに生まれた勇者を少しの人員で魔王討伐に向かわせる……これに意味はあるのか?
魔王門に居座るバケモンを怖がるだけの情けない王……勇者なぞ居なくても、父が全盛の頃にこの門のバケモンは倒せたんじゃないか……?本当に情けない……。父を手元に置き怯え、竦む、小心者の王……。
今回の厄祭……『本当の精鋭』は皆東か西の紛争に駆り出されていた……。
そもそも東の英雄王さまも東攻めの前にエィトロ討伐の補佐を名乗り出てくれていた。俺と、親父と、英雄王、西に派兵されたらしい例の槍神、4人で討伐出来たんじゃないのか?
……魔女がギリギリの所で仕留めたと聞く。無能な王を仰ぐとこれ程までに……剣が重いのか……。
こうして、この砦で2年、僧侶が回復するまで勇者たちは過ごす事になる。
久々に楽しかった。
毎日毎日人が死ぬ、あんなに見たのに、もう、人死にはごめんだ。
戦士の価値観
敵を躊躇うこと無く殺す戦士であるが、味方の兵士が1人でも死ぬと……涙し、女神に祈りを捧げていた。
戦闘前、自分の部隊に居た上官から部下、奴隷兵に至るまで、彼は全員の名前を覚え、戦闘後、全員の安否を確認して回っていた。
身内か、そうでないか、その違いで態度を一変させる。
戦災孤児の、哀しい性であった。




