韋駄天 3
なんという事だ……
こんな所で……運命の出会いが……
韋駄天
伝説の騎士が東方出兵時に拾った戦災孤児である。
東方連邦の若き英雄王に稽古をつけ、パラディン、という職を新たに作り出した伝説の騎士さま。
その騎士さまのために生きる。と誓った。
必ずあの人の剣になる。そう誓い。誰にも負けない速さを手に入れた。速さは……力だ。誰にも負けない力だ。
そう思い、この力で、老いて自信を無くした騎士を、いつか勇者と共に魔王を倒す夢を……支えたかった。
知らぬ間に、勇者と共に旅立ち、知らぬ間に……亡くなるとは、全く考えもつかなかった。
--------------------
「っで?事情がまだ半ばだったな。こいつはなんなんだ?」
「うちの者が大変失礼を……、こやつは……王都指南役、騎士さまのお子にございます」
「な、独り身だと言っていたぞ!?」
「はい、この者は実の子ではなく、戦災孤児にございます。騎士さまがお引き取りになり、小さき頃より武術指南をしておられたのです。ただ、気性までは受け継がなかったようでして……鉄砲玉のように最前線に向かい功を焦る始末」
部隊長の説明を聞いている間。勇者は押し黙っている。
縄でぐるぐる巻きになった戦士が口を開く。
「俺も先程事情は聞いた。父の油断が招いた事だったんだろう。だが、勇者はともかく、この魔女がいてどういう事だ?!何故、父はそんな所で亡くならねばいけなかったのだ!!」
「威勢のいいガキだな。私にも事情というものがある。相性の問題だったよあれは。場所も悪かった。………………」
魔女から、更に詳細な事情を聞き戦士は絶句する。
「な……何故そのような事に……?!おかしいだろ!何故……。女神さまは……」
「これは……私のせいだ。私無しでいれば、騎士は今も存命だったろう。女神の加護持つあの騎士がいれば、エィトロにも苦労しなかったであろう」
部隊長も詳細な事情を聞き絶句していた。
沈黙が暫く続く。
そんな折、会議室のドアが静かに開く。
「え……っと、私も参加……して大丈夫かな?」
僧侶だった。
「おおぉ!僧侶さま?!まさか俺の心配を?いやー参ったなー」
「…………ちょうどよかった僧侶……みんなも……ちょっといいかな、戦士……」
勇者の言葉、まさか、仲間に勧誘されるとはな。
納得のいかない事もあった。
だが、俺の女神のために戦おうかな。それもありかな。と思った。
魔女の杖
「ところで、魔女って杖持ってたんだな?どうして今まで使わなかったんだ?」
「あぁ、細かな制御したりする時はこれがあってもいいんだが、あまり魔力の消費を気にして魔法を放つ事がなかったからな。ここからはシビアに管理しないともたないと思ったので。引っ張り出してきた」
「な、なるほど……?ところで、その杖、何で出来てるんだ?それか、名前はあるのか?」
「あぁ……なんだったかなぁ、一応おじじ様の形見なんだが…………うーんと…………何だったかなぁ……」




