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勇者は魔王を倒しました  作者: 匿名記号
韋駄天の章

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38/102

韋駄天 2

勇者は負けた。


目にも止まらぬその動きを、捉える術がなかった。

「くっ……!」

「なんだ……?弱すぎないか?本当に勇者がこいつなのか??」


 そう言いつつ、戦士は持った剣を勇者へと振り下ろす。

 ふっ……と勇者が消え、戦士の剣は空を切る。


「それくらいにしといてくれないか、パーティで最弱なんだうちの勇者は、優しくしてくれないかな」


どしゃあ!!

 っと魔女が杖から振り落とされる。


「っあーっつ!!格好つけてるとこなんだからこう……お前もこういう時位付き合え!」


 杖と喧嘩が始まる。

 魔女は油断している。今殺そう。

ガァン!!

と激しい衝突音がし、魔女の耳元を戦士の剣が襲い、髪がハラりと落ちる。ギリギリのところで杖で受けたようだ。


「なんだ?その杖……どうして切れない?」

「ククッ、足が少し早い程度で私に勝てるとでも思っているのか?」


 ……恐ろしい殺気だった。思わず飛び下がる、この魔女が何をしでかすか不明だった。邪悪な笑みと……見たことがない色の瞳、魔力も読めない、更に距離を置き様子を見る。


「……用があるのは勇者だけだ、お前じゃない」

「勇者はうちのパーティのリーダーだ。殺したいならまず私を殺すのだな」

「…………チッ。お前の底が見えない。今はやめておく」


 剣を鞘に納めた瞬間。砦の兵士たちがのしかかって来た。


「「「か、かくほーーー!」」」


 兵士たちに不本意ながら捕まった。魔女の気配に気を取られ過ぎたようだ……。




「あ、あれ?何、なんの騒ぎ?」


 僧侶が松葉杖をつきながら現れる。


「う、美しい……女神……」


 戦士は僧侶に一目惚れした!




出兵時、自分の太刀筋を見切った者は多くなかった。


特に、本気のふた振り目を見切った者は居なかった。

2人の時間

「なんとか1人で動けるようになってきたし、もう大丈夫だよ。私ひとりでリハビリも出来るよ」

「いや、まだ松葉杖でじゃないか、傍にいるよ」

「そ、そんな頼りないかな……私……」

「いや……そんな事はない……が……その……」

「……」

「……」

「「あの」」


ドカーーーン!!!


「む……?なんの音だ?王都側から?僧侶はここに居て、僕が見てくる!」

「あ、ちょ……ぁ……。もう!待ってよ!私も行く!」

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