韋駄天 2
勇者は負けた。
目にも止まらぬその動きを、捉える術がなかった。
「くっ……!」
「なんだ……?弱すぎないか?本当に勇者がこいつなのか??」
そう言いつつ、戦士は持った剣を勇者へと振り下ろす。
ふっ……と勇者が消え、戦士の剣は空を切る。
「それくらいにしといてくれないか、パーティで最弱なんだうちの勇者は、優しくしてくれないかな」
どしゃあ!!
っと魔女が杖から振り落とされる。
「っあーっつ!!格好つけてるとこなんだからこう……お前もこういう時位付き合え!」
杖と喧嘩が始まる。
魔女は油断している。今殺そう。
ガァン!!
と激しい衝突音がし、魔女の耳元を戦士の剣が襲い、髪がハラりと落ちる。ギリギリのところで杖で受けたようだ。
「なんだ?その杖……どうして切れない?」
「ククッ、足が少し早い程度で私に勝てるとでも思っているのか?」
……恐ろしい殺気だった。思わず飛び下がる、この魔女が何をしでかすか不明だった。邪悪な笑みと……見たことがない色の瞳、魔力も読めない、更に距離を置き様子を見る。
「……用があるのは勇者だけだ、お前じゃない」
「勇者はうちのパーティのリーダーだ。殺したいならまず私を殺すのだな」
「…………チッ。お前の底が見えない。今はやめておく」
剣を鞘に納めた瞬間。砦の兵士たちがのしかかって来た。
「「「か、かくほーーー!」」」
兵士たちに不本意ながら捕まった。魔女の気配に気を取られ過ぎたようだ……。
「あ、あれ?何、なんの騒ぎ?」
僧侶が松葉杖をつきながら現れる。
「う、美しい……女神……」
戦士は僧侶に一目惚れした!
出兵時、自分の太刀筋を見切った者は多くなかった。
特に、本気のふた振り目を見切った者は居なかった。
2人の時間
「なんとか1人で動けるようになってきたし、もう大丈夫だよ。私ひとりでリハビリも出来るよ」
「いや、まだ松葉杖でじゃないか、傍にいるよ」
「そ、そんな頼りないかな……私……」
「いや……そんな事はない……が……その……」
「……」
「……」
「「あの」」
ドカーーーン!!!
「む……?なんの音だ?王都側から?僧侶はここに居て、僕が見てくる!」
「あ、ちょ……ぁ……。もう!待ってよ!私も行く!」




