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勇者は魔王を倒しました  作者: 匿名記号
韋駄天の章

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37/102

韋駄天 1

あの人が……死んだ?


そんなはずが無い、きっと嵌められたんだ。

報せを聞きすぐに戻りたかった


でも、一度決めた事を曲げたら顔向けが出来ない


そう思い……戦い続けた


10年……10年掛かった


すぐに準備をし、追いかけた


父の、師匠の仇!




ドカーーーン!!!

魔王門前砦の城壁が爆破される。


「な……?!王都領側から敵襲?!」


 部隊長が飛び起き、剣を取り、自室から一番近くの見晴台から双眼鏡を覗き込む。


「……ん?あいつは……王都の……問題児がどうしてここに……」

「勇者!!!勇者がここに居ると聞いたぞ!どこだ!殺してやる!!!」

「なんであいつは勇者さまの命狙っているんだ?!!とりあえず奴を止めろ!」

「なんだお前たち!お前たちも勇者の仲間になったのか!!!」


 ワーワーと門の辺りで乱戦がおこる、単身突撃してきたゴツい鎧に身を包んだおそらく王都の戦士……は見た目に反して軽やかな身のこなしで兵士の攻撃をさばいていく。




どしゃあ!!

 何かが落ちてきた音がする。


「っつー!!こら!乱暴に落とすんじゃない!久々に出してやったんだからもう少し私の言うことを聞け!」


 魔女だった。何やら杖と喧嘩している。


「む?おぉ、魔女さま、杖を持った姿も凛々しゅうございますな。おっと、これはお恥ずかしい所を、お騒がせしております。直ぐに事態を収めるので暫しお待ちくだされ」

「ふむ、何やら爆発音がしたので様子を見に来ただけだが、あの小柄な戦士が引き起こした騒ぎか?」

「左様です。この北の王都の……一番の問題児にございます」

「勇者勇者と騒いでいるようだが?」

「あぁ……あれはおそらく……」


 部隊長が事情を話そうとした矢先、門前に勇者が現れる。


「あぁ……勇者さま……お手をわずらせるわけには……!」

「いえいえ、あの人は僕を探してるようなので、それに……失礼ですが、ここの兵士さんだけだとおさめるのは……厳しそうかなぁと……」

「お前が!勇者か!!」


 物凄い膂力でぶっ飛んでくる戦士。



東方連邦に単身で支援に向かい

激戦区から激戦区を渡り歩き

勝ち戦には必ず名が上がり

負け戦では必ず殿を務め

多くの味方の命を救った。



付いたあだ名は「韋駄天」




王都の戦士は強かった、自信に溢れていた。


だが、その過ぎた自信が、身を滅ぼした。

出兵制度

北方王都は比較的平和な地域であるため、兵士たちが各地に出兵、派兵される事も多かった。国家間の取り決めで行われる事が多かったが、戦士は自身の意思で向かっていた。

英雄王の敗走と共に東の大戦は一旦の終結を迎え。戦士は北方王都へと戻っていた。

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