一時の休息
魔神は倒れた。
勇者パーティ一時の休息。
勇者が僧侶の肩を持ち、そっとベッドに寝かせる。
「ごめんなさい、まだ……上手く歩けなくて……」
「そんな数日で治るような呪いじゃない、ゆっくりリハビリしていこう」
コンコンコン、とドアをノックする音がした。
どうぞ、と声をかける。
「失礼致します。先程、勇者さまの妹さまのお部屋を清掃中の使用人から、お手紙……遺書……でしょうか?を発見したとの報告があり。こちらまでお持ち致しました」
兵士が足早に部屋を出る。
「これ……あなた宛……かな?」
「多分……一応魔女も呼んでから開封しよう」
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『ははっ、魔力尽きちゃった。転移魔法ってさ、実は物凄く燃費悪くてさ……、嘘をついていた。私は置いていってくれ』
『何言ってるんだ?気づいていたよ、僧侶もリハビリしないといけないし、しばらくここに滞在しよう。魔女は魔力の回復に努めてくれ。無理をさせて、本当にすまない』
『魔女……ごめんね……転移魔法なんて普通あんな連発無理なのなんてここの兵士ですら噂してたよ。呪い、体の筋肉や内臓もボロボロにしてるわ回復魔法も受け付けないわで、ちょっと時間かかるかも……ごめん』
ここで私は捨てられる。魔法の使えない魔法使いなど不要、そう思ってたのにな。逆に謝罪されるとは……。
ここ……魔王門地下の神殿、凄いマナの量だ。ここなら1年もあれば、全快には程遠いが、戦闘に支障ない程度には魔力を回復出来よう……。
マナをエーテルに変換する瞑想……おじじ様にもっと効率のいい方法聞いとくべきだったなぁ……。
「魔女……!う、なんだここ、マナの瘴気?」
「ん……?うわ、勇者!?ここは危険だ、何しに来たんだ!1度地上に戻ろう」
魔王門地上、おそらく客間。
「あんな危険な所で何をしていたんだ?瘴気化する程のマナの中にいるとは……僕もマナへの耐性がかなり高いと思うけど、あそこは一刻もいられないよ。魔女は本当に別格というか、規格外というか」
「あぁ……マナをエーテルに変換していたんだ。私は……マナもエーテルも体の構成組織なんだ」
「そ……んな事も出来たのか?それに変換って?」
「そこに関しては私自身もよく分かってはいない。同じ体質の生物もいないのでな」
「そ……うだったのか……。あ、あぁそうだ、要件を忘れていた。妹の手紙が発見されたんだ。せっかくなので呼びに来たんだ」
「ふむ?分かった。同行しよう」
勇者……数日見ないだけで随分とやつれたな、僧侶の具合……あまり良くないのか?
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「さて、あの下女改め勇者さまの妹君の最後に残した手紙には何が書いてあるのかなー?」
「お、おいやめてくれ……、開くぞ」
「…………え、これって……」
最初は当たり障りのない挨拶、自分が勇者の妹だと言う事、が書かれていた。
その後、勇者が旅立った後の、長女のわかる範囲でのおぞましい、家族に起こった不幸が書かれている。
「な、そんな……」
「一度……家に帰る……?」
「………………。」
「いや……ここで帰っても、何の力にもなれない、このまま、進もう」
手紙の最後には、私の娘を、魔王を倒したその後、娘の事をお願いします。と書き添えられていた。
勇者は魔王を倒しました。
休息の時間と、新たな出会い。
転移魔法
瞬時に希望の場所に移動できる便利な魔法。
本来はエーテルを使用する魔法だが人類はマナを使用している。そのため使用の度に毒に侵されるリスクがある。
深翠の魔女の転移魔法はエーテルを使用しているのでマナの汚染の心配は無い。




