勇気の代償 7
私はあまりにも無力だった。
勇者の旅に同行すれば、何かが変わると期待していた。
勇者は右肺と心臓付近の重要な血管の損傷で喀血していた。
余命いくばくもない状態から万全の状態まで回復している。
どんな修行をしたら私と変わらない……年端もいかないような女性が習得出来るのだろう。
兄様……泣いてる……もう……僧侶さまは……
……あれ……?
「勇者さま、勇者さま、呪いが……解けて。。。解けてる……!まだ、今ならまだ間に合うかもしれない!」
兄様に代わり私が僧侶さまを抱きかかえる、まだ暖かい……それに……。
「いぎ……微かに……息してます……!必ず、必ず助けます!」
今にも止まりそうな心臓の鼓動……。
東方の戦禍の中、外から物理的に圧を掛けて蘇生に成功した事例があった……。見よう見まねだけど……治癒の魔法の使えない私に選択肢はなかった。
気道を確保して……胸元……を開いて……えっと圧を、鼓動と同じペースで。。。その後に空気を口で……。
何回か繰り返した。
「ん……ごほっ!ごほ!すっー、はー、、、」
僧侶さま、呼吸が落ち着いてくれた……。良かった…………良かった。
僧侶は目を開け、勇者の手をそっと取ると、力なく目を瞑った。
「僧侶……?」
勇者の声は届かなかった。
「あぁ……あれ。。。心臓、呼吸も……戻ったのに……もう……とっくに体力の……限界だった?」
あぁ……あぁ……誰でも……誰でもいいです。誰か……たすけてください。無力な私を……助けて下さい。
考えて考えて考え抜いて……出した結論。私はこの人になりたかったんだ。
勇気の結果はまた犠牲。
僧侶の治癒魔法
内緒だよ、内緒、君のためだけの魔法。何個かあるんだ。
あの魔女さまはどうせ自力で治しちゃうからねー。私のお役目はあなたを癒すことなのです。
君のための魔法。どんな時でも、絶対に君を救う魔法。




