深翠の魔女 5
二度も負けた、私がいながら……。
おじじ様、あなたに誇れる私はどこにいますか?
「……魔女風情が、1人で何をしに来た?」
夜闇の隙間から顔を出す魔女。
「喋る口ついてたんだな?お前。私は今退屈してるんだ。退屈で退屈で堪らない。壊れない玩具で遊びたい気分なんだ」
「無駄な事を……。貴様1人で何が出来る?誰か死んだか、勇者か、あの修道女が何かしたか?……呪いを受けたあの僧侶か?……!フホホホ、僧侶か!あの鈍臭い僧侶、私に一撃与えたのにな、虫に小突かれたようだったぞ!!」
「…………」
昏い翠の瞳の目線が空間を切り裂く。裂けた隙間から無数の矢が襲う。
左に目を向ける。巨大な火の塊、氷柱、プラズマが走る。
目線を落とす。真っ黒い影から死神が現れ、ゆっくりと手をかざし、その手を握りつぶした。
「んん〜?次はなんだ?もう終わりか?」
ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべる魔神。
「物理、属性、状態異常、なるほど、なるほど……私の全力を人に試す訳にはいかないからな……。もう……疲れた……本当に疲れた、終わりにしよう」
魔神の下卑た笑いが木霊した。
魔女は苛立ち、魔法を放つ。
魔力尽き果て、天を仰ぐ。
魔神の記録
約1000年前、北部魔王軍にて魔神を名乗る魔族の存在を確認。各々他の魔族、魔王、魔物にない特徴を要している模様。
当時三体を確認するも、エィトロの魔王門封鎖以来、残りの二体は1000年確認されていない。




