勇気の代償 5
一睡も出来なかった。
恐怖で、眠れなかった……。
「ただの下女なんか私が連れてくるか!」
開口一番早速怒られた。魔女さまはやっぱり私の事が嫌いなんだろう。
「まぁまぁ……順を追って説明してあげようよ」
あぁ、兄様は優しいのにな……。
「はぁ……神官職にしか出来ない事はなんだ?言ってみろ」
試すような問いかけ。すごく苦手だ。答えを教えて欲しい。
「ぇ……と……治癒の魔法と……即死魔法耐性……ぁ……。え?でも、、、」
「私は魔法使いで、こいつは勇者だ、ほんと、相性最悪。僧侶ちゃんが居なけりゃ手も足も出ない」
「………………大役を任せてすまない、僕と彼女で全力のサポートをする。頼めるかな?」
頷いた。私にしか出来ない事だった。ただ、疑問が残る。
「あの……どうして……魔神が女神さまの加護を……?」
魔女さまがニヤニヤと笑う。
「ククッ……今聞く?それ?この国最大の恥部……とある祭の噂くらい知っているだろう。奴がそのお祭りの主賓だ。」
「祭……集められた兵士は、1人も生きて帰らないっていう……?」
「そうだ、今年、祭は行われ……奴は今、マナの魔力の補充にかかり切りになる程に弱っている。今この国で奴と戦えるのは……僕と魔女と……僧侶しか望めないレベルだ」
兄様の真剣な口ぶりに私は息を呑む……でも、肝心の疑問が解消されていない。
「え、と……でも私の……」
「深く考えなくても分かろう、あのまじんさまはな、元人間だ。確証はない。だが……間違いない、クロだ」
魔女はなお、私の顔を見てニヤニヤしている。
…………魔女さまの説明、聞かなければよかったな。私は……一体ナニに祈ればいいんだろう。
「さぁ……楽しい楽しいピクニックの始まりだ!」
あぁそうだ、ここに来た理由、『大好きなお兄ちゃんのために死ぬ』
2度目の決戦。魔神戦第二幕。
厄祭
魔神エィトロは放った呪いの効果でその場を動けない。
50年に一度、魔神をその場に留めるために、祭は行われる。
生存率0%の祭は、勇者が来る3ヶ月前に行われている。




