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勇者は魔王を倒しました  作者: 匿名記号
勇気の章

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23/102

勇気の代償 2

名乗らなかった、名乗れなかった。


どっちだろう、もう、どっちでもいいや。

「な、なぁ?なんでそんなに拗ねているんだ?」

「べぇつにぃ?いつ私が拗ねたというのだ」


 魔女さまはきっと、私の事が嫌いだ。

 女性から好かれた事は1度もない。

 寧ろ、あからさまな態度に出してくれるだけありがたいと思った。


 王都から出て100マートル程の茂みの中で魔女は立ち止まり、目隠しを取る。翠色の……昏い瞳が……堪らなく恐ろしく感じた。


「ここらでいいか……、おい、下女。私の体に触れられる事、光栄に思え。肩を持て」


 小さく返事をし、肩に触れると舌打ちが聞こえた。

 ごめんなさい。汚い女が、魔女さまに触れて……ごめんなさい。


 魔女さまが目を細める、何か詠唱をするのかな?

 そう思った瞬間、辺りが光に包まれる。薄緑色の煌めきが辺りを優しく包み込む。暖かい陽だまりの匂い……。


 次の瞬間、身を切るような寒さが私を襲った。

 兄が自身の付けていたマントを私の肩に乗せてくれた。暖かい……また舌打ちが聞こえた。


 魔王領前の魔王門……厳つく巨大で、禍々しい門が私の目の前にあった。


あぁ……ごめんなさい、お父さん……お母さん……ごめんなさい


私は生きて帰る事を諦めた


勝てるはずがない、あんなモノに


あぁ女神さま……私に立ち向かう勇気を……




目に映る魔神、恐怖で動けなかった。


誰を犠牲にしても、何を犠牲にしても……

第一印象 2

怖い、怖い、怖い、怖い、あの瞳、翠色の……。暗い昏いあの瞳の色が、たまらなく怖い。

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