勇気の代償 2
名乗らなかった、名乗れなかった。
どっちだろう、もう、どっちでもいいや。
「な、なぁ?なんでそんなに拗ねているんだ?」
「べぇつにぃ?いつ私が拗ねたというのだ」
魔女さまはきっと、私の事が嫌いだ。
女性から好かれた事は1度もない。
寧ろ、あからさまな態度に出してくれるだけありがたいと思った。
王都から出て100マートル程の茂みの中で魔女は立ち止まり、目隠しを取る。翠色の……昏い瞳が……堪らなく恐ろしく感じた。
「ここらでいいか……、おい、下女。私の体に触れられる事、光栄に思え。肩を持て」
小さく返事をし、肩に触れると舌打ちが聞こえた。
ごめんなさい。汚い女が、魔女さまに触れて……ごめんなさい。
魔女さまが目を細める、何か詠唱をするのかな?
そう思った瞬間、辺りが光に包まれる。薄緑色の煌めきが辺りを優しく包み込む。暖かい陽だまりの匂い……。
次の瞬間、身を切るような寒さが私を襲った。
兄が自身の付けていたマントを私の肩に乗せてくれた。暖かい……また舌打ちが聞こえた。
魔王領前の魔王門……厳つく巨大で、禍々しい門が私の目の前にあった。
あぁ……ごめんなさい、お父さん……お母さん……ごめんなさい
私は生きて帰る事を諦めた
勝てるはずがない、あんなモノに
あぁ女神さま……私に立ち向かう勇気を……
目に映る魔神、恐怖で動けなかった。
誰を犠牲にしても、何を犠牲にしても……
第一印象 2
怖い、怖い、怖い、怖い、あの瞳、翠色の……。暗い昏いあの瞳の色が、たまらなく怖い。




