村の意味と価値
勇者は魔王を倒しました。
勇者は北部の村出身です。その村はとある魔族を殺しました。
村は王都からの支援などありません。
王都や街のために、犠牲になります。
年に1度、『そこにあるか』の確認に兵士が3人、神官が1人来ます。
1年、そこにあれば、簡単に壊れるような結界を張り、何か書き記し、去ります。
簡単に壊れる結界、弱った魔物程度なら侵入を防げますが、この結界を村に張るのには別の理由がありました。
魔物を引き寄せるのです。
結界が無くても10-14日、早ければ7日程度の頻度で魔物から襲われます。
結界を張った村には毎日の様に魔物が現れるようになります。時には魔族も現れるそうです。
魔族はその気になれば小さな村程度なら簡単に吹き飛ばせます。何故かなかなか消しません。
王は、人間はそこに目をつけました。
マナを使用した結界を村に施しているのです。
マナはこの世界に満ち満ちています。
結界は簡単に壊れる代わりに、破壊されても一刻もすれば直ぐに結界を張り直します。
王都に、王都を支える街に、被害が及ばないようにしているのです。
王都は強大な魔法結界を敷き。食料も労働力も周辺の街に頼り切りでした。村は特に魔王城のある北部に多く点在しています。
北部は、1年のほとんどが雪に覆われ、作物もロクに育たず、食料になる動物も大半が魔物に食い尽くされています。ほんの十数年前まではそこまで雪に覆われ続けることもなかったそうです。
村の人々は、昼夜を問わず魔物、魔族の襲撃に備えないといけません。
毎日、いくつかの村が襲撃にあいます。
毎日毎日、村の人々の話題は、どこの村が襲撃にあった。
あの村は壊滅した、次はうちかもしれない、死ぬのは嫌だ、死にたくない、死にたくない死にたくない死にたくない。
この世界の人類は、自らの命すら自由に出来ないものがほとんどです。
マナは魔族を引き寄せます、マナは魔物を引き寄せます。
村の結界は、人間の悪意の塊でした。
マナの結界は、村の中にまでマナを振り撒きます。マナは人間には猛毒です。極々少量とはいえ、体を蝕みます。
この世界の魔物は、肉は毒のため食用に適さず骨は加工出来ない程に固く換金性もありません。皮や毛や血も毒のため使えません。
倒してもなんの役にも立たない魔物を、それでも倒さないと、畑は荒らされ、食用の動物は食いつくされます。
魔王を倒しても、人々の生活は変わりませんでした。
勇者は魔王を倒しました。
王都から最も離れたその村は、勇者の生まれた村でした。
魔族について 2
魔族は女神を殺します
魔族は天使を殺します
魔族は人間を殺します




